Covid19は触媒でしかない。というか、WithコロナとかAfterコロナってどうなのよ?って思っています

あまのじゃくなので、With コロナの時代、とかAfter コロナの時代はかつてのルールや仕組みがガラッと変わる、って言われると、ハァ?頭の中でお祭りでもありましたか?と思ってしまうタイプです。

 

この手の、この出来事で全てが変わる!って人って、これからの時代は個の時代だ!とか、AIの時代!とか、グローバル社会が!って連呼していたと思うんですよね。で、そうした人って多分なんちゃらサロンとかに課金してそうな感じしてて、楽しそうな連中だなあ、って思っています。

なんだろ、この一発で全て変わる、ってメインレースで負けて、最後の泣きの10Rで全部取り戻してやる、みたいな日曜午後のダメなお父さんっぽくないですか?。乱暴すぎない?って考えています。

 

Covid19の影響は小さい、などというつもりはありません。実際、航空会社や小売りが多数破綻していますからね。株価も一時ものすごい下がりましたし、不動産のDealでもSuspendしたものが多数あったと思います。ホテルも無茶苦茶になっているし。

 

でも、これはCovid19によって引き起こされたこと、というよりも従来の歪が顕在化した、即ち、CovidはCatalystであって、根源ではないはずなのです。

 

例えば、小生は不動産の世界の人間なので不動産に関して言うと、ホテルはすでに19年末には大阪・京都では飽和状態で、未だホテル作るの?マジで。という感じで19年の年央には当該エリアのホテルは「よっぽど安くないと、オペレーターがしっかりした先でないとアクイジションは考えない」といった人は少なくない数がいたものでした。

 

また、Retail、商業アセットについても、例えば米国では百貨店が複数あるメガモール的なものはAmazon Effectにやられていて、Neiman Marcusもそろそろ限界、と言われていました。

 

アクイジションにおいても、既にCovidの前からレジ・物流施設への取得意欲が高まる一方、オフィスや商業、そしてホテルへの投資意欲は落ちていたのです。従って、Covid19はそれを後押しした、と言えて、Covid19があったからHotel&Retailがダメになったという訳ではありません。

 

オフィスにしたってそうです。以前から働き方改革の名のもと、一部、と言っても大手が中心ですが、特に共働きで子育て社員を中心に在宅ワークの導入が進みつつありました。オフィスについても、一等地の高スペックのオフィスを借りる一方で、床面積自体については、従来よりも少なくして、フリーアドレスの導入、個人のスペース削減でグロスの面積を減らすことで、支払い賃料を抑える、といった動きはちょくちょく見えていました。

 

一方で、Googleの元CEOであるEric Schmidtが言うように、寧ろCovid19後の方がスペースを広く使う必要性を感じる人が出てきたり、ちょっと前ですが、フルリモートワークだった企業が、効率やコミュニケーションを考えて、オフィス中心の勤務体系に戻した、といった話はそこそこ有名な話です。従って、これでリモートが中心になって、オフィスがオワコンになる、というのはやや表層的というか、言葉を選ばずに言えば、浅学ですね、と言える。

 

一方で、これまで共働き子育て世代の様に、Benefitから在宅ワークも選ぶ、例えば、恒例の親の介護もあり週2回出勤であとは在宅ワークを選ぶ、といった形は十分に出てくるでしょうし、特に女性ではこれの恩恵を受けると思います。それによって、女性の労働参加も進むと考えます。

 

そう考えると、今まで進展が遅かったことがCovid19を経て導入が早く進んだ、という事であって、それ以上、世界が変わる、といった大仰な発想は寧ろ見誤るかもしれない、と考えています。

 

例えば、911の前は、旅客機のコックピットには割合カジュアルに写真撮影ができた、とか手荷物検査でペットボトルのチェックは実際あまりなかった、という話は聞きます。然し今は違いますよね。でもそれを以て大きな、大変影響のあった話ですか?というと、疑問が残ります。

 

当然、グローバル化された社会において、ある特定の地域・国に生産、経済条件が効率的だからそこに集中する、という貌は低減するでしょう。中国の施策を踏まえると明らかにそうです。

 

然しながら、では中国をOmitできますか?と言えば実はそれも現実的ではないでしょう。血の気の多い人は、米中(経済)戦争で日本は米国側について戦うだろう、みたいな話をする人がいますが、それによって得られるのはLose-Loseでしかなく、それを選ぶ意味合いは本当に少ない(しかし、全てが合理で進むのが世の中ではないので、それによって戦火が広がる可能性が無いとも言えないところが恐ろしいのですが)。

 

従って、今までの「効率化」「統合」一辺倒から、リスクを分散させる方向に流れると思いますが、それを以て大きな変化、コロナ前には帰れない、みたいな「煽り」は首を傾げざるを得ません。煽りで語るハーメルンの笛吹きに付いて行くことは危険だと思っています。

 

インバウンドにしても、然りで、インバウンドへ傾斜したことが誤っていた、日本人を重視すべきだ、と意見がありますが、これも僕は疑問を持っています。

 

そもそも何故インバウンドに着目したのでしょうか。自民党政権が或いは安倍首相が強欲だからでしょうか。違うと思います。根本的に本邦は人口減少と高齢化社会にあり、これを若年人口を産めよ増やせよで増やすこと、移民をどんどん入れていくこと、という現実的でない施策を取ることは出来ない、一方で、日本人を中心に据えたら消費量も減るなかで中長期的に先細りしかない。そう考えると、若い人口が多く、所得の増加が著しい、東アジア・東南アジアに近い地の利を生かしたインバウンドの呼び込みは理にかなっているし、日本に利益をもたらす筈です(実際にもたらしていたと思います)。

 

米国や中国の様に、ガンガン金を突っ込む、海外から優秀な人材を刈り取ってきて新しいテクノロジーを作り込む、といった施策は日本にはできません。一方で、メーカーは電機業界がbehindして、自動車業界が没落したら日本も本格的に終わりですね、という話はすでに7年以上も前からされていたことでして、自動車産業だけに頼らない経済構造を作るためにインバウンド観光業はやはり今後も大事な産業であると思います。

 

当然、直ぐに回復することは厳しいと思いますが、アジアはAmericasやEuroと比較すると回復が早いのでやや希望があるか、と思っています。国の旅行しよう政策はバラまきだし良いのか?という話も判らないでは無いのですが、放置しておくとインバウンドが本格復活する前に滅茶苦茶になってしまう可能性もあり、苦渋の政策なのかな、とも思っています。

 

いずれにせよ、インバウンド施策は、感染症対策や災害発生時における対応といった、「セールス」以外の対応が弱かったことが露呈している以上、お金をかけた対策もそちら側にしなければならないでしょうし、それをおざなりにすることは出来ないと思います。

 

もう一つ言えるのは、本邦においてCovid19が懸念する状態ではない、ということをなんらか調査してアピールしないとインバウンドもなかなか戻らないリスクがあります。PCR検査が魔法の杖でもないし、治療ではない訳で、また検知に完全性があるわけではないですからこれを全国民にさせることが果たして意味があるか、という疑問はあるので、対策は限定されないにしろ、何らかのリサーチによる数的把握が一層必要になるのかな、と思っています。

 

どちらにしても、日常が戻ってきつつある中で、第二波の懸念は無い訳で無いのですが、今度は経済的なイシューが中心になる中で、前と一切違ってくるのだ、といった考え方は現実を見誤る気がするので、Covid19前の事象をもう一度丁寧に整理したうえで、落ち着いてStrategyを組む必要があると思います。With CoronaとかAfter Coronaという言葉を多用しない方が良いのかもしれません。

 

CoronaはBeerだけでいいでしょ?