マンションを買うならどこが良いか、という論争(アメリカの事例を踏まえて)

まあ、賃貸vs購入派の論争って、最早異教徒を自己の宗派に引き込もうとする話だから酒の肴なら兎も角、真剣にやりだすのは不毛なので多分You Tubeで水着ねーちゃんでも見てたほうがいいと思う。

 

それでも、「住処」という人として、「食う・寝る」の基本的な生きるための場所として考えたときに、「良い悪い」を別として、今後本邦にどの様な流れが来るであろうか、ということをどのポジションの人間であっても「考えること」に意味はあると思っていて(Disるのではなく)、それを受けて、自分はどう暮らすか、という話な気がしています。

 

さて、その場合、結局日本で起こることは、何だかんだで米国で起こったこと、起こっていることに影響を強く受けていると思います。

 

という訳で、春先に米国出張することもあり、現在米国に関するStudy、ヒアリングを国内でしているなか、今後日本に起こりうるであろうことを想像(妄想)しつつ、米国現地で見て色々と考えること、それが今年前半の主なテーマになると考えています。

 

事前に申し上げるが、米国と日本の事情は異なるので単純比較は当然できないことは所与の前提。従って、個々人の志向のTipsとして見ていただければ幸甚です。

 

 

1.After Lehaman

米国における過去経緯をその起源から書いてみる、ということを一寸考えたんですけど、それこそ本が書けちゃいそうな話なので止めましたw。見る方も疲れるし。ということで、リーマン後に起こった事象を見ていこうかと。まあ、もう10年以上経ったわけですし。。。

 

リーマンの後、米国政府が介入する貌で、住宅金融環境は再度「復興」された訳ですが、元には戻らず(戻らせない)。即ち、①Bad Boyの一つとなった証券化手法においても、オリジネーターが最劣後の持ち分の一部を保有するようにする、といった規制、②金融機関においてもVolcker Ruleの適用が進むことによってPrincipla Investmentが制限されるなど、景色は一般の人には判別し難いのですが、変わっていきました。判りやすい所では、与信審査基準の引き上げ、自己資金比率の引き上げ、といった形で、「借り難く」なった、ということは判りやすい変化の度合いだったと思います。

 

また、米国における産業構造の変化はさらに明確になっていきました。リーマン以前からやや傾いていたGMを代表する自動車産業、メーカーはやられましたし、GAFAが本格的に勢いを増したのがリーマン後だったと思います(もちろんその前から大きな会社でしたが)。

 

つまり何が起きたか、というとTech Companyを中心にそこで働く人は一定のサラリーを獲得できた一方、そうでない業界の人はイマイチ給料の伸びも不冴。また、Tech系に入るにしても、大学卒業までに相応の水準の学生ローンを借り入れている若年が生まれる訳で、所謂MillennialsのEco志向といった消費性向は少なからず、Incomeのキツさ、Debtの多さに影響を受けていると考えます。

 

2.堅調な賃貸レジ

 

米国の不動産Marketにおいて、賃貸レジは非常に堅調といえます。レポートを見ていてもRent Glowthが年5%なんてチラホラしてます。

 

何故賃貸レジが堅調か。それは以下の要素によるものです。

①そもそも人口が増加しているお国柄

②インフレが前提の社会

③今まで持ち家を買っていた人も賃貸レジを借りている

④貸し手の力が強い

⑤嗜好の変化に伴う職住遊近接志向と集合住宅

 

①乃至②については想像がやや容易かと。即ち、賃料が上昇するにはそもそも豊富なニーズがあること、そして経済学的にはインフレが前提であれば更に、という話です。

 

では③は何か、という話ですが、これはリーマン後の社会・制度構造の変化にも起因していて、持ち家取得のための住宅ローンの借り入れが頭金2割以上など、そのハードルが高まったことや、本邦と同じ様に住宅ローンを借り入れするにも、ある会社での勤務履歴が問われる訳です。つまり、何年働いている?という話。転職が当たり前の社会では、給与水準が高くても、ここで引っかかる人も出てくる訳です。結局これも証券化商品の厳格化が影響している、という所作。

 

④について言うと、米国は昔からですが貸し手が優位です。不動産クラスタなら常識ですが日本では借り手の力がすごく強くて、再開発でも「富士そば」や「弁護士事務所」がネタにされるほど、ゴネまくって補償金せしめた、なんて話はネタにされる位。一方米国では、契約更新に至らなければ、普通に契約を解消・終了させ、現行tenantはKick Outされてしまう。そんな訳で賃料が低いテナントでも賃上げ又は新たな賃料が高いテナントへの入れ替えが可能となる。

 

借り手の保護、という観点ではそれは問題だ、という話もあるでしょうが、一方で、だからこそ借りやすくなる、ということもあるかと思います。Pros&Consの世界でしょう。なお、米国においても、州や地域によっては賃上げは一定の水準に留める様にZoningしていたり、Affordable Residenceを備える前提で許認可を下ろしている物件もあります。この当たり、本邦もStudyを深める必要があるかと。

 

⑤について。これは③にも関連しますが、Millennialsを中心に職住遊近接というのが一つのキーワードになっています。日本でも、特に東京で「職住近接」というWordを大手デベが打ち出しているのを見たことがある人も多いと思います。USではこれに「遊」が加わっていて、都市化が更に進んでいるようで。

 

かつて米国では、都心であるDownTownはあまり治安が宜しくない、ということで郊外に一戸建を建てて自家用車でオフィスに通う、といったCaseが多かった様です。実際、高速道路のICの近くにオフィスがあって、ここにProfessionalsな会計士やリーガルの事務所が置かれていて、そこに勤務する、といった人も多かった様です(今やこうしたオフィスはかなり苦戦しているようですが)。

 

米国はやはり他民族の国で成り立ちも人種差別の問題を抱えていたわけなので、富裕層は都心ではなく、別に郊外の住宅とその周辺に比較的高級なショッピングセンター・モールがあった訳です。まあ、モールも今やAmazonにブチのめされて。。。ですが。

 

前述通り、Millennialsは結構借金を負っている人も多い訳で、車でオフィスまで移動して、なんて余力もないし、そもそも車で移動で。。。なんて「だるい」訳です。それよりは近しいオフィスで働いて、近くに住まうというスタイルをとりたい(ある意味、WeWorkの世界観はそこから派生しているでしょう)。そうなると都心とか或いは利便性の良い地域に位置する集合住宅(賃貸)はニーズに適している訳です。

 

大体、そうしたレジは最近開発されたり、もともとあった物件(レジだけでなくオフィスやその他の用途だった)をリノベしているので、エッジが最近のもので、アメニティも充実しているわけです。ジムがついていたり、プールがついていたり。それでも賃料はそこそこするんですけどね。

 

 

3.投資家も金を入れる「賃貸レジ」

 

(1)債券が"しんでる"ので。。。

 

Incomeを生むアセットってやっぱり投資対象としては底堅い訳です。Tech系の様な、要はユニコーンは完全に将来性にBetする訳ですが結局どうなるか、なんて分からない訳です。Twitterにいる株クラの様にトレードする訳にもいかないし、企業年金を扱っている様な大手投資家にとっては、一定のCashを生むアセットは必要な訳で。

 

本来、そうした場合に投資を考えるのは債券な訳です。一義的に言えば国債です。しかしご存じの通り、ゼロおろかマイナス金利政策の結果、通常持ち切りの場合、債券はマイナスなので、長期で保有して利払いでCashを期待できない訳です。

 

じゃあ、寝ますか、という訳に行かず。何かに投資しないとみんなの年金が払えなくなってしまうので、実物資産で賃料収入を、一般的に安定的にCashを生む不動産投資にお金が流れる訳です。

 

(2)やっぱり米国・そしてレジ

 

上記の様な投資家の場合、どこに投資するか、となると「通貨としての安定性」「法体系の安定性」「取引の流動性」を考えるとやはり米国となるのは少し考えると自明の理の気がしています。

 

では、どのアセットに投資しますか、となると、賃料収入の安定性を考えるならば、やはり賃貸レジかあるいは物流施設になると思います。

 

オフィスではないのか、という話ですが、オフィスはやはり一般的に賃料のvolatilityがやや強いこと、実際にExit(投資を終わらせてCash化すること)を検討した際に、マーケットの環境によってそのCap Rate(利回り)についてもvolatilityが激しいので、長期で安定投資したい、と思う人にはやや頭を悩ませるアセットではあります。

 

ホテルは更にvolatilityが高いですし、商業(リテール)はAmazonにやられてモールを中心に不透明感がすごい。Student Apart、Storageもちょっと新興アセットだし、マーケット規模を考えるとちょっと悩ましい。そうすると、ニーズが強い地域の賃貸レジはやはり皆向き合いやすい訳で、だから買い手(投資家)が注目しやすいのです。

 

(3)金利上がらない?

 

少し前まで、リーマン後の金融緩和状態を経済環境が改善してきたことに伴い、「正常化」しようという流れがFRBはあったのですが、政府側、即ち、トランプ大統領の再選狙いや、足元の世界経済の不透明感が増す中で、米国も金融緩和を止めることができない、というジレンマに陥っている状態。

 

米国において、低金利環境が継続する一方、インフレ及び需要に起因する賃料グロースが続くのであれば、運用側としては有利な環境な訳ですし、早期に投資をすればするほど、リターンは改善される訳です(IRRの観点では時間も加わるので、早めにやればIRRが良化するとは一概に言えませんが)。

 

 

4.ミクロ/教育という観点

 

という訳で、賃貸レジのマーケットについて述べきましたが、So what?という話も一般的には強いでしょう。という訳で、不動産屋さん・投資家以外の一般人に近しい話を一つ。

 

(1)教育という観点

 

米国の初等教育の根幹はやはり公教育。東京都心の中高一貫、私立、お受験、という流れはやはり特殊です。一方、エグいのは公立小学校でもランキングがあって、ランキング上位の小学校は非常に人気があるので、その地域のレジは分譲でも人気があったり、賃貸でもお子さんがいるご家族が入居を熱望する、ということが多いようで。

 

従って、都心の職住遊一体を希望して住み始めた場合でも、そもそもあまり環境が良くなかったエリアの場合、住環境や商業エリアはgentrificationが進んでも、「学校」までは未整備のため、良い教育を求めて違う地域に引っ越すケースも。

 

(2)教育が整備されているエリアは所得も期待できる?

 

投資家(AM)はどこに投資すればより良いリターンを挙げられるか、ということを常に頭の片隅で考え続けている変態さんですが、そうした彼らの一部が着目しているのは、優良な大学がある都市のレジだそうです。

 

というのは、そうした先端科学・Tech系の技術が開発され、それが事業化されるとよいビジネスが生み出され、そしてそこで働く人は賃料負担が相応あるので、そういったエリアの賃貸レジは非常に望ましい、良いリターンを挙げるだろう、と考えている様です。確かに、文京区のレジはいい値段で売れる訳でこれは本邦でも同じかもしれません。実際、関西でも、北野高校に受験するために人気のある中学校の学区などは人気がある、という話を在阪の人から伺ったことがあります。

 

5.我々はどこにBetした方が良いか

 

ということでこれら米国の事例を踏まえると、本邦において住宅投資をするならば以下の2点が重視すべき、という話になります。つまり、

①人口が増加しているエリア

②教育環境がよろしいエリア

まあ。。。あまり面白い結果は出ていませんが、結局のところ、奇をてらったことに何か勝機があるか、というと厳しいということで。

 

またつまらぬ駄文を書いてしまった。。。