暴落した後に戻るまでどの程度要したか、と言う話(ADRを事例とした検証)
レジREITなら多分大丈夫!と言っておいて、今日も結構下げてましたね。大丈夫かよ。自分で言っておいて、アレ何で、もう少し検証してみようと思います。
やっぱりイナバ百人乗っても大丈夫、でないけど、やっぱりリーマンの時を検証材料として持ってくるのは王道ですかね?
さて、レジREITのうち、リーマン前からあるものの代表格として、アドバンス・レジデンス投資法人(ADR)がある訳ですが、このADRは実は日本レジデンシャル投資法人(NRR)との合併を経て、今は「新ADR」な訳ですが、リーマンちょっと前からNRRとの合併前までの投資口価格の推移を確認して、どの時点でどれだけ下落して、回復迄どの程度かかったか、上昇幅は?ということを検証してみたいと思います。
さて、先ずはADRの投資口価格の推移を確認しましょう。
<ADR投資口価格の推移(2008/1/4~2010/2/23)>
約2年ちょっとと言ったところでしょうか。この間の投資口価格の数値についておさらいすると、以下の通り。
当該期間最大値 :450,000円(2008/1/8)
当該期間最小値 :185,000円(2008/10/28)
当該期間平均 :341,870円
リーマン前平均 :370,431円
破綻前平均:368,969円(※ニューシティレジデンス投資法人、NCR破綻は2008/10/9の事象)
ここから認識できることは以下の事象でしょうか。
- 最小値185,000円は最大値の約41%、リーマン前平均の約49%、NCR破綻前平均の約50%の水準。つまり瞬間最大風速で半減した。なお暴落直近迄は350,000円程度で推移していたことを考えると約53%の水準になる。
- リーマン後も投資口価格の下落はマイルドで、NCR破綻後に目立って下落した。
- 暴落後、暴落前の水準である350,000円程度まで回復するのに約10カ月を要した。
- その後また再度下落基調にあった(ギリシア危機、2010年1月~)
そう考えるならば、同じ事が仮に起こると、ADRの投資口価格は直近1年で360,000~340,000円の水準で推移していたことから瞬間最大風速で180,000~170,000円となるリスクは無いとは言えないでしょう、ということと、仮にそこまでなったとしても10カ月あれば戻す可能性があるということです。
さて、これはあくまで投資口の価格だけに着目した場合。
実際に重要なのはこれまでのエントリーの通り、Cash Flowの動きこそ一番重要です。そのため、判り易く配当を先ず確認してみましょう。
期 | 時期 | 営業収益 | 当期純利益 | 配当 |
(百万円) | (百万円) | (円) | ||
1 | 2006年6月 | 1,715 | 762 | 14,335 |
2 | 2006年12月 | 1,801 | 759 | 14,284 |
3 | 2007年6月 | 2,204 | 1,012 | 13,323 |
4 | 2007年12月 | 2,276 | 1,027 | 13,523 |
5 | 2008年6月 | 2,674 | 1,070 | 14,087 |
6 | 2008年12月 | 2,845 | 1,179 | 15,515 |
7 | 2009年6月 | 2,863 | 1,022 | 13,451 |
8 | 2009年12月 | 2,797 | 923 | 12,155 |
平均 | 2,397 | 969 | 13,834 |
さて、面白い事が判ります。つまり、
投資口の価格が最も下がった2008年10月が属する2008年12月期には15,515円と、上場以来最も高い配当が計上されています。即ち、2008年10月に取得したとして、同月の平均投資口価格は288,600円でしたので、年換算では10%超えるのか?凄い。。。
一方、配当が最も少ない水準では12,155円と全盛期の78%でした。仮に2カ月後に開示されたとして2010年2月の投資口価格の平均は325,000円程度。それでも5%は優に超えてくる数字。
こうしてみると、投資口価格の変動と実際の配当の変動にはギャップがありますし、暴落したタイミングでの配当は高い割合が多いので、結構おいしい利回りが確保できる可能性があります。
ちなみにADRがNRRと合併後の第1期(2011年1月期)は11カ月決算でした。11か月で一口当たりの配当は8,250円でしたが、6カ月に直せば4,500円でしょうか。
え?凄い減って居るじゃん?って思いますよね。これ、投資口の分割で旧ADRの1口=新ADR3口分に値するそうなので、3倍すると13,500円となるため、2009年6月期の水準に回復していることになります。
その後、第3期(2012年1月期)まで、財務政策もあってか、4,500円の配当を継続後、第4期には4,724円 と、4,500円を上回る水準で配当を安定的に投資家へ提供し続けています。
と言う訳で、レジREITは安定的な配当は期待できそうですし、暴落した時には買いに行くスタンスで良いと思いますが、景気回復期にはどうやらそこまで投資口価格の上昇(回復)に対して、配当の増加は限定的の様です。
また、利回りと言う観点では、やはりリーマン後の利回りに比べると現時点ではやや低いと判断できます。ただし、日銀の緩和策等を考えると、妥当な水準とも言えるかもしれません。
しかし、当然のことながら、この異次元緩和が終わった後、この配当利回りはどうか?という議論はあるかもしれません。寧ろ、今回のコロナショックにおける暴落といった事象よりも超長期的には異次元緩和が続けられなくなった後のDebt調達も含めたコスト上昇、思ったよりも賃料が上げられない問題に直面するかもしれません。この点については、今回の値動き云々とは別に留意しておくべきでしょう。
今回も長くなった。。。あと初めてグラフ入れてみたけど超メンド臭い。つかれた。もうこんな時間かよ。。。誰か残業代としてJHRの投資口くださいw