こんな本を読んできました

夏休みなので、皆さん色々な本をお読みになっているかと思います。

私も色々な本を読んできましたが、特に面白かった本をご紹介します。

夏休みの自由研究にでも、どうぞ。

 

(1)戦争もの

亡くなった祖父が旧陸軍でキスカ島から命辛々撤退したと思ったら、ソ連につかまってシベリアで抑留されていた、ということもあり、また個人的に史学が好きだったこともあり、この手の本は昔から読んでいました。野中先生ら共著は、ともすると古典でもありますが、一見の価値はあります。まあ、某東京都知事お勧め、っていうので割り引かないでください(笑)。

 

 

1.失敗の本質(野中郁次郎他):

個人的にはハード版で読んで欲しいw。出されてから時間が立っているので、その後の研究成果を踏まえるとやや正確ではない点もありますが、まあこの辺りの入門図書としては十分かと。

 

 

2.失敗の本質 戦場のリーダーシップ編(野中郁次郎

「失敗の本質」の続編的な。リーダーシップに着目しています。まあ、前作の「補論」的ではありますが。。。

 

 

3。史上最大の決断(野中郁次郎):

どちらかというと、「成功したのには」に脚光を当てているのと、こっちは欧州です。“賢慮”うーん。。。この辺りになるとやや好き嫌いは別れる。

 

 

4.昭和陸海軍の失敗、あの戦争に何故負けたのか(両書とも文春新書)

入門編としては読みやすいです。組織論として見ると、イデオロギーだけが取り上げられやすい右派左派の論争も、一歩引いて考えることができるかと。

 

 

5.日本海軍400時間の証明(NHKスペシャル取材班)

NHKスペシャルで三田人もいると思います。それのBook Ver..

えっぐい組織やなー、って思うけど、あれ、これどっかでデジャビュが。。。

 

 

6.逆説の軍隊(戸部良一

日本陸軍の点から草創期、そして明治大正を経てやがての破滅までを分析していますが、この本は個人的には結構好きです。こうしてみると、不合理がどうして生まれたのか、合理が不合理になっていく過程などが凄く興味深く読むことができます。文庫にしては1333円と高いですけどね。中公文庫です。

 

 

 7.失敗のメカニズム(中央公論社、共著)、組織は合理的に失敗する(日経ビジネス文庫、菊澤研宗)

組織が失敗することは、「アホだから」というよりも、その場その場のスポットでみた場合、結構合理的だったりすることが多いです。それは「逆説の軍隊」でも読み取れるのですが、その経緯が判り易く書かれていると思います。

 

 

8.戦争まで~歴史を決めた交渉と日本の失敗(加藤陽子

高校生向けの特別講義として講義されたものの書本。まあ、参加している生徒の層は相当高いと思う。基本的に読みやすいですし、判り易い。こうしてみると、米国とも交渉の余地があったのにもかかわらず、結果的に戦争に至った経緯について色々記載されている。

 

個人的には、「分岐点があったとしても、その分岐点でAorBを選ぶことが可能だったか」という疑問はあって、即ち何が言いたいか、というと、ある状況を重ねてきた者にとって、二択乃至三択があっても、結局その者の状況が選びうる、選ばせてしまう選択は決められてしまっているのでないか、という疑念と懸念を持っています。さて如何に。

 

 

9.経済学者たちの日米開戦(牧野邦昭)

秋丸機関の「幻の報告書」を東條内閣は握りつぶして無謀な戦争に、という論もしばしば見受けられますが、それに対する疑義というか検証。

 

結論としては、当時の日本情報機関もそれなりに正確な検証を持っていたし、限定的な条件の中で選択した結果、ソ連とは一旦不可侵条約を締結し、米国との戦争へ踏み切った訳ですが、これはこれで、「合理」であった訳です。勿論その当時から「かなりのバクチ」であることは認識されていました。然しながら、"合理"として「開戦しない」という選択は取りえなかった。

 

これは畢竟、当時の日本という国(政府)が国民或いは自分たちに大きなヴィジョンを提示出来なかった、限界があった、と言うことなのでしょうか。

 

結局、上述の「戦争まで」の本でも被りますが、結構早い段階から、旧大日本帝国が積む、というのは内包されていたのかな、とも思います。それはある意味幕末から明治にかけての日本の「限界」だったのか、と。

 

 

 10.主戦か講和か(帝国陸軍の秘密終戦工作)

旧日本の指導者がぐずぐず決めれないうちに戦火が拡大して犠牲者が多くなった、と言う話はそれはそれでそうなのですが、組織における意思決定、派閥抗争というのは実に難しい。

 

特に旧陸軍では226事件の様なこともあって、うかつに終戦する、というと、「ふざけんな」となって反対派が武力で内線起こす可能性もある訳で。で実際1945年8月の終戦時も反対派が武装蜂起するかしないか、みたいな。。。結局大組織になると意思決定は困難を極めます。戸部先生の本で、旧日本軍は日本に置いて最大の官僚組織であった、という表現がはっとさせられます。

 

 

11.日本軍兵士(中公新書、吉田裕)、日本軍と日本兵講談社現代新書、一ノ瀬俊也)

現場レベルのブラックさ。これは今でも通じる。日曜夜に見るとちょっと心を痛める可能性が高いので、やや余裕があるときに読みましょう。歴史は地続きですね。。。

 

 

12.戦争調査会 幻の政府文書を読み解く(井上寿一

戦後、幣原内閣時に立ち上げられた、どうしてあの戦争に至ったのか、と言う検証するPJについての本。結局当該PJはGHQの指令もあり1年半で廃止されていますが、やはりこうしたPJが未だ当事者が多い時に確りとなされた上で、どうすべきだったのか、という検証と議論はひつようだったのだろうなあ、と。

 

 

13.昭和陸軍全史1~3(講談社現代新書、川田稔)

クッソ長くマニアックです(超褒め言葉)。逆説の軍隊(戸部良一)とご一緒に読むとマニア度が上がります。

 

 

(2)組織論、戦略論

大学の時は戦略論を専攻していました。。。まあ、もっと実務的な会計とか金融やって資格でも取っておいた方がサラリーマン実務上良かったかもしれない。今の所、仕事で凄い役立った、という実体はありませんが、ある意味の世の中に対する「諦念」というか「達観」というのは出来たのかと。良いのか?それ?

 

 

13.日本 呪縛の構図(上下)

日本に通産40年以上住んでいるforeignerの視点は興味深く、結局、その思考というものはある時点時代飲みに独特では無く、継続的に涵養されてきたものである、ということでしょうかね。やや長めですが。

  

 

14.リスクとの遭遇(日経プレミアシリーズ、植村修一)、人はなぜ集団になると怠けるのか(中公新書、釘原直機)、組織行動の「まずい!!」学(樋口晴彦

心理学やゲーム理論などから、失敗に陥る原因やリスクコントロールについて説明した本です。平易ですし直ぐに読めるので、通勤の折に。

 

 

15.完本 カリスマ 上下(佐野眞一

言わずと知れた、旧ダイエー中内功の物語。中内の生い立ちからダイエーの勃興、そしてバブルを経て破滅に至るまで、情念を持って記載されている。

 

フィリピンの戦地から正に九死に一生を得て、回りの戦友は殆ど死に、捨てられたに中から生還し、野武士の様になり上がって行く。そして、結局バブルや神戸の震災の影響を受けて、破綻し中内は"自分の育てた子供"、ダイエーを追いやられ、丸紅、イオンを経て、実質ダイエーは解体される。切ない。

 

これ、ドラマ化しないかなあ。絶対面白いと思うんだけど。超お勧めです。

 

 

16.バブル 日本迷走の原点(永野健二)

直近の「敗戦」と言えば、やっぱりバブル崩壊とその後の失われたン十年でしょう。著者はバブル期に脂がのった記者だったこともあって、その記載は非常に面白いですし、若手は「バブル期」といっても良く判らない、とか倫理的にとらまえてしまいがちな感もありますが、その当時の事案と問題が判り易く書いているので、宜しいかと。

 

 

17.失敗の研究 ~巨大組織が崩れる時(日経新聞社、金田信一郎)

日系企業における不祥事、不正問題について発生した背景や経緯を検証しています。割と判り易いかと。