我々の見る絵の総和

子供の夏休みが始まったばかりですが、世の中は不穏なニュースも多く、天気も冴えないからいや、夏らしい晴れ空が欲しいものだと思う次第です。

 

京都アニメーションにおける悲劇的な事件や、吉本事務所(芸人さん)との不祥事がツイッターでは議論にぎやかですけど、それらを見てて、そして最近読んだ本や自分の周辺の出来事から少し思う。

 

ある人が持つ顔は色々あって、それを「見てる・受け取る人」が持つ小さな写真はこれまた色々あって、何が正解か、真実か、ということは何だか余り意味をなさないのかなあ、と思います。

 

強いて言えば、その絵の総和が全てである、という。

 

なんだか結論にもなっていないけど。

 

                                

個人的な経験・感想。

 

そして「いつもの」話で恐縮ですけど(笑)。

 

日本リートのこと。

 

 

過去、あのリートのスポンサーである双日は前回のファンドバブルの時に痛手を負いました。総合商社でも経営基盤は決して盤石とは言えない企業であり、一時期関係者の方々は双日自身も含めて大変な苦労がありました。

 

そんななか、2013年からのマーケット環境の改善や諸々の諸事情もあって、彼らをスポンサーとしたREITの立ち上げ話があった時、その予定ポートフォリオの内容が、その当時におけるオフィス専業或いはオフィス中心型の上場リートと比較するとあまりにも見劣りすること。見劣りするだけならば未だしも、その当時としてはかなり割高と評してもおかしくない金額で外部から購入することについて、一部からかなり否定的な話が上がったことを思い出します。

 

更に付言すると、パイプラインとして用意するブリッジファンドの物件も、更に悪いのではないか、という議論も。

 

その当時、時間が無い中で東京エリアにある物件はほぼ全て見に行った、ということは記憶しています。上司が「これはアカンじゃないのかあ」とボソッとつぶやいて、ポートフォリオの一つである御徒町オフィスビルの地下にあった焼き鳥屋でランチを食べた事を思い出します。

 

彼らは、その当時、2013、2014年当時、未だ不動産マーケット価格は上昇する、一方更に将来に来るであろう、リセッション時には、規模があまりにも小体なリートは淘汰される、従って、入口ではダッシュで物件を購入して資産規模を大きくする、そうすると、海外のエクイティも入ってくるので、安定的にリートとして買われるようになると、リート自体の安定性も増す、だから今ブリッジファンドを含めて「頑張って」買うのだ、という話をしていたのを思い出します。

 

なるほど、一理はある。と思ったのは正直事実でした。

 

一方、いや、その前にマーケットが崩れるリスクがあること、都心とは言え、築年数があるアセットに対する疑念(マーケットが崩れたときに空室率が上昇する、賃料下落が厳しくなる、Capexの問題、REITとして物件を入れ替えるときの困難さの可能性等)が尽きず、これについてかなり厳しい議論をした記憶があります。

 

結果的に彼らは買った。

 

それは色々な諸事情もあった訳ですが、Bankはファイナンスを出すことにもなった。色々な人が色々な思惑と信念と立ち位置による利益、色々相まって。

 

結果どうなったか。

 

マーケットは2015年以降も更に加熱し、都心部のオフィスだと立地が良ければ中規模のオフィスで築年数が20年超でも普通にCap 4%前半での取得は全然ある事例で、寧ろ3%後半でValue-upして5年後の出口でNCF Cap 4%前半とか結構ザラです。

 

そう思うと、その時の私の見立ては、描いていた絵は実現しなかった訳です。まあ、節穴だったんだな、と言われても、それまでです。

 

ただ、マーケットがどうなるか、というのは全く判らないモノです。事実、結果的に日本リートのAMの見立てが当たった訳ですが、今でも私は私がその時に見立てをした見立ては間違っていたけど、「おかしくは無い」と思っています。

 

いや、単なる意固地か、と言う話ですが、それだけでなくて、人の見る絵はそれぞれだなあ、と思う次第で、実際私の見立てをした人間も少なくなかった訳です。でもそうでない、NRTAMの見立てを持って投資口に投資したチャレンジャーもいた訳です。

 

何が真実か、ということはこの際色々で、夫々が持っていた絵が、全ての絵だったと。でも世の中に実現する事実は一つであったと。

 

 

話は最初に戻りますが、宮迫氏が何時の段階で反社と知ったのか、それは実は本人にすら最早判っていないでしょう。ただお金を受け取ったこと、そして、受け取ったかそうでないか、ということに最初嘘をついたことは事実でしょう。

 

そのうえで、闇営業やちょっと怪しいけど仕事があればそれからお金を受け取ってしまおう、という土壌を醸造してきたのは吉本興業も暗黙的に認識していたと思います(勿論、これは私の持つ彼らに対する絵ですが)。

 

一番興味深かったのは、田村氏が吉本に対する不信を募らせた、と言う一方で、宮迫氏とも含めて吉本興業への感謝を述べていたことはある意味妙かもしれませんが、それも何と無くありうるものだなあ、と感じました。

 

人と人との時間的に重ねた層は思い出深い事も憎しみも疑念も色々折り重なって出来ているのだろう、ということか。だから一つの対象に色々な絵を持っている。そして私達は善も悪も美しさも醜さも顔を持つ。そう思うとこの世の中というものはやりきれなくもあるが愛しく思う。

 

あ、日本リート、18日にみずほとスワップ結んでいたけど、BTMUの担当者詰められてない?大丈夫?