レジREITもう少しそれっぽく分析してみようと思った。ロマンス。

寒い日ですね。つらたん。

 

拙宅では娘と妻がAmazon Primeで映画見てますが、何故か「僕らの七日間戦争」を見てて吹く。若かりし頃の宮沢りえが綺麗で懐かしい、と妻は言っていますが、もうこれ何か時代劇並ですね。1980年代ってこうだったのかなあ、とか。挿入歌がちょいちょい入っているんですけど、場末の酒場に流れてる感じ。レモンサワー流し込みたい。

 

ええ、1970年代のビルを旧耐震だけど新耐震並や!!!イケる!!!ってこの前も絶叫してボツったけどやっぱ1980年代で古さしか映画から感じないからやっぱ1970年代に勝ち目無いのかな。。。つらみ。

 

さて、前日?はレジリートは安くなれば凌げるゆ!って雄叫びのエントリーをかましました。

 

REITバリ下がりですが・・・中略・・・ぼくしんじゃう】

http://ntekimania.hatenablog.com/entry/2020/03/13/235908

 

投資信託先生が「レジは魅力的だが、地方が入っている場合、評価を下げるべきである」という趣旨の話をされていました(と言う理解で宜しいですか?)。つまり、地方の人口はとどのつまり縮小傾向にある訳で、安定的な賃貸レジでも長期コア資産として考えるならば、地方は厳しい、という至極保守本流のご意見で全く違和感ありません。

 

ただ私見としては、

 

①都心は賃料は高い水準が確保可能であり、上昇も期待可能

②但し、景気後退期には賃料の減額や空室の発生でCash Flowとして厳しい局面も迎えるリスクがある

③一方、郊外・地方都市(但し政令指定都市クラス)のレジは実需が堅いエリア

④こうした実需中心のエリアは賃料の上げが限定されるが、賃料のダウンサイドも限られる

 

と言うものです。従って、地方物件もマネジメントが適切に成されていればCash Flowは安定的なので、ダウンサイドの局面を踏まえてポートフォリオに組み込む意義はあるのではないか、と言う考えです。従って、ADR(3269)やCRR(3282)だけでなく、他のリートにも投資妙味の有無を考えても良いのではないか、と考えています。

 

では実際の所、東京都心のレジとそれ以外の動き、一等地のレジの賃料=Cash Flowの動きについて考えてみたいと思います。

 

これから、所謂「アベノミクス」が始まる前である、「13年1月期(12年8月から13年1月の6カ月)」から、直近の決算期「19年7月期(19年2月から19年7月)」との比較をします。

丁度いい塩梅で、ADRもKDRも1月と7月が決算期なので横並びとしては楽ですね。そこで、NOI、つまり、賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引いた純収支を比較してみましょう。

なお、NOIから長期修繕費用(Capex)を加味(控除)したものがNCFですが、NCFについては、オーナーの考えが反映される、つまりCapexをどの程度かけると言う事に拠るので、AMによってはNCFよりもNOIで語ることが多いです。

 

 

1.東京都心一等地の場合

先ずは、プライムエリアの物件の動向について見てみましょう。都心一等地の物件については3つの物件に登場頂きました。

 

①レジディア島津山(ADR=アドバンスレジデンスリート)

②レジディア九段下(ADR

③KDX代官山レジデンス(KDR=ケネディクスレジデンシャルリート)

 

       【13年1月期】    【19年7月期】 

①島津山 :   42百万円  ⇒    55百万円(+14.1%)※

②九段下 :   52百万円  ⇒       63百万円(+21.1%)※

③代官山 :    127百万円  ⇒     135百万円(+  6.3%)

(※ADR保有物件。有価証券報告書上、賃貸事業損益として減価償却費が差し引かれていたので足し戻して検証)

 

おお。。。島津山とか九段下のNOIの上がり方、しゅごい。。。おちんぎん、ギンギンやん、しびれゆ。こんなんエエに決まってるやん。立地も良し、わずか6年でこれですか、買わない理由ない。。。

 

 

2.東京郊外

都心以外だったらどうなんでしょうかね。「郊外とまでは言えないけども一般的な立地、それなりに都心への通勤が便利な立地」の物件を適当に選んでます。

 

A メゾンエクレーレ江古田(ADR

B レジディア木場(ADR

C レジディア調布(ADR

D KDX文京千石レジデンス(KDR)

E  KDX武蔵中原レジデンス(KDR)

 

       【13年1月期】    【19年7月期】 

A 江古田 :   26百万円  ⇒    25百万円(▲3.8%)※

B 木場  :   64百万円  ⇒    68百万円(+6.3%)※

C 調布  :   27百万円  ⇒    29百万円(+7.4%)※

D 文京千石:   39百万円  ⇒    40百万円(+2.6%)

E  武蔵中原:   19百万円  ⇒    19百万円(横ばい)

(※ADR有価証券報告書上、賃貸事業損益として減価償却費が差し引かれていたので足し戻して検証)

 

ふむ。。。都心ほどでないですが堅調ですね。ちょっと(と言っても1百万円程度ですが)下落しているケースもありますがね。。。

 

 

3.地方物件

それでは、地方(と言っても政令指定都市の中心部)の物件ではどうでしょうか。

 

イ レジディア今出川(名古屋)(ADR

ロ レジディア博多(福岡)(ADR

ハ レジディア大通公園(札幌)(ADR

ニ KDX定禅寺通レジデンス(仙台)

 

        【13年1月期】    【19年7月期】

イ 今出川 :   49百万円  ⇒    45百万円(▲8.2%)※

ロ 博多  :   38百万円  ⇒       35百万円(▲7.9%)※

ハ 大通公園:   66百万円  ⇒       65百万円(▲1.5%)※

ニ 定禅寺通:   41百万円  ⇒       38百万円(▲7.3%)

(※ADR有価証券報告書上、賃貸事業損益として減価償却費が差し引かれていたので足し戻して検証)

 

うーん、流石、投資信託先生、その通りですね。年ベースで最大▲1-2%ダウンしていますね。勿論、築年数とか諸々の諸条件に変化があった結果、ということもあるでしょうが、地方については「バラ色の未来」を前提にするのはやや危うい。地方物件は超長期で考えると厳しいのでしょう。

 

 

4.高級物件の怖さ

 

さて、これまで都心一等地、東京郊外、地方物件と見てきましたが、最後に「高級賃貸レジ」について検証してみます。

 

物件名  :チェルシーガーデン広尾

所在   :東京都渋谷区広尾三丁目

竣工   :2000年

アクセス :東京メトロ日比谷線「広尾」駅 徒歩13分

戸数   :6戸

(ご参考)https://ebisu-fudousan.com/rent/569/

 

所謂、「高級レジデンス」です。現状募集されている部屋の広さが200平米越えということから、はっきり言って普通の人が住む賃貸マンションじゃありません。ではどう言った人が住むのか、というと、会社経営者、芸能人、外資系企業の外国人幹部(Expad)といった人たち。個人で借りるということもありますが、主に会社が法人で借りて、会社の福利厚生として提供しているのです。

 

こう言った物件が都内プライムエリアにはいくつかあって、分譲マンションを賃貸に出している事例もありますが、一棟まるまる高級賃貸物件の事例もあります。この手のレジのリーシングはかなり特殊だそうで、KENコーポレーションといった会社が強みを持つと言われていますが、特定の伝手が無いと中々厳しいです。

 

この物件、チェルシーガーデン広尾は、日本賃貸住宅投資法人の前身である、リプラス・レジデンシャル投資法人が所有していました。「プレミアムカテゴリ」に位置付けられていますね。

 

これについては、リーマン前からリーマン後の夫々の時点におけるCash Flow(NOI)の変動をみてみましょう。

 

2008年3月(2007年10月~2008年3月):97百万円

2010年3月(2009年10月~2010年3月):58百万円(▲40.5%)

 

凄いですね。2年でNOI▲40%のダウン。震える。借入を興してフルアモチで物件買っていたら多分期中にCashが回らなくなる奴ですね。

 

この背景には以下の理由があります。

1.リーマン後、外資系企業のExpadなどこうした高級レジの住宅補助を受けれる入居者のパイが激減した

2.只でさえデカいレジなので1戸当たりの面積、賃料のグロスが大きいため、稼働率の悪化が即Cash Flowに甚大な影響を与える

 

結果的に2011年にはこの物件を売却しExitしています。勿論、こうしたレジは景気が良くなると稼働も改善し、賃料も高いものが取れるので非常に高額物件として売買されます。まあ、そもそも立地も非常によろしいので。

 

ただし、これまで見てきたとおり、景気後退期において、Cash Flowの悪化が坂道を転げ落ちるように進行するので、Volatilityが高く、これを組み込みすぎると下手すれば地方の物件なんかよりもずっとNegativeに働く場合があります。従って、「安定的なレジアセット」といってもこの手の物件はホテルなどと同じようなアップサイドを楽しみつつも時にはNegativeな影響に耐える必要があるものなので留意が必要です。

 

 

5.突き詰めればポートフォリオの問題である

 

さて、長々と論じてきましたが、結局のところREITポートフォリオをどう構築するか、と言う原理原則に立ち返る面白味のない話になってしまうのでしょう。

 

例えば、出来れば都内の割と良い地域にAffordableなレジを集めたい所ですが、取得競争が厳しい訳ですし、災害等を考えるとエリア的な分散も必要でしょう。但し、その場合、例えば地方はCBD(Central Business District)でも賃上げ余地は少ない訳で(寧ろ下がるリスクはある)、上手くポートフォリオを構築していかないと行けないでしょう。

 

また、レジの賃料はそうは言っても劇的に上がる要素は少ない訳で、景気改善気にはオフィスやホテルに魅力が映る訳で、恐らくKDRがホテルを組み入れるように仕組んだのも、利回りの改善、アップサイドを目論んだと言う事が挙げられると思います(でもリブマックスはどうかと思うぞ、うん)。

 

然しながら、レジREITに求められることは何か、と言えば、やはり着実な賃料、Cash Flowと投資口配当の確保であると思います。従って、今回のコロナ禍による投資口価格の低下を踏まえて、もう一度ポートフォリオのあり方は再考されるべきと考えます。

 

また、我々投資家レベルでは、安定的なCash Flowを生む実物資産を裏付けとしたREITは多分、事法のエクイティよりは面白くないと思いますが、Cash Flowの安定性を楽しみつつ、Investmentの妙味も味わえる訳ですので、長期で保有するのは良いかと思われます。

 

但し、前回のエントリーの最後に述べました通り、結局は投資口価格、即ち利回りも重要な訳で、4%を切った水準での取得は長期で見れば割高なので、4%乗せてるタイミングで、過度なリスクを取らずに運用することが肝心と考えます。

 

 

 

長くなりました。最後に一言。

 

 

菊池桃子の水着は僕の小学校時代の禁断の果実でした。

母親が親父のプレイボーイ(だった気がする)のグラビア見てた僕を発見、大激怒。

親父含めて纏めて説教されたEnfance Finieを今日「僕らの七日間戦争」の宮沢りえを見て思い出しました。

 

そんな僕も今は紗倉まなFanzaで自由に観覧できるような大人になって、

「大人っていいなあ」って思います。

 

ロマンス。

REITバリ下がりですが皆さん息してますか?僕AMは投資家OniyomeにAM更迭されそうですが何か?

さて、皆さまお元気ですか、って元気な訳ないですね。

 

コロナで始まって、諸々イベント事も中止になって観光業や運輸関連はぐちゃぐちゃで多分結構ヤバイ。BlackSwanがウィルスって、予想してなかった奴は居たかも知れないけど、マトモもにリスクにカウントしてたのっていたのかな。結果論だけど。

 

さて、昨日今日の株価ダダ下がりでREITの投資口価格も下がりまくりました。先般から最早ヤバイやばみすたん、と言われていたホテル系は既に下がっていましたし、リテール系は"密林効果"でお先行き暗かったのでいち早く下げていましたね。

 

JHRって、ちょっと前まで9万円あったんだぜ、INVは6万だぜ?。

嘘みたいだろ?

半値だぜ?嘘だと言ってよバーニィ

サンダースの方は嫌だよ?

 

さて、本日の各REITセクター毎の下落率(12日⇒13日の下落率、平均)

 

総合型・複合型:▲11.7%

(NMH▲12.2%、UUR▲16.2%、Orix▲12.9%、大和H▲5.4%、プレミア▲14.5%他)

オフィス中心 :▲11.4%

(NBF▲6.4%、JRE▲8.6%、NRT▲15.6%、インベ▲13.6%、ケネオフィス▲11.1%他)

 レジデンシャル:▲  9.7%

ADR▲13.2%、ケネレジ▲9.0%、コンフォ▲10.8%、アコモ▲6.2%、日賃住▲11.4%他)

リテール   :▲13.7%

(日リテ▲15.6%、フロンティア▲13.6%、ケネ商▲15.6%、イオン▲10.9%他)

ロジスティクス:▲10.2%

(日ロジ▲7.5%、GLP▲12.5%、産業▲4.0%、ラサール▲5.4%他)

ホテル    :▲13.3%

(JHR▲14.1%、INV▲9.5%、大江戸▲12.5%、星野▲11.5%、いちごH▲18.6%他)

全平均    :▲11.7%

 

<個別の分析と言う名の感想>

  • 商業系はリテールファンドとケネ商がきつい。リテールについては複数筋からテナントの減賃要請があったとの話を聞く。立地は良い分、多分入ってるテナントの賃料が高く、物販・飲食両方のテナントがやられているのだろう。MCもどうやら商業からはやや距離を置いている感はある(私募ファンドの話)。
  • ケネ商については、コンドル先生の話もあるように、ラウンドワンやスポーツクラブと言ったコロナ禍をバチコン大ヒットみたいな所が嫌われているのか。
  • ホテルはINVが下がり過ぎて下がり止まったのか。JHRについては所有ホテルについて五輪関連で抑えられているものがあるので、延期・中止リスクが未だ残っているか。いちごHは多分オペレーターリスクか。JHATやリブマックスのクレジットリスクをどう取るか。コロナ自粛が長引くと多分辛い。時間との勝負。
  • オフィス系はNBFが老舗の力を見せたか下げ幅を留めている。日本リート。。。頑張って欲しいが当初から言われていた築古リスクをどう見るか。久々の20万台に転落か維持か。いずれにしてもオフィスのBCP対応なりがカギか。インベスコは。。。実力?流石に1万台の投資口価格だとSA vsさくらみたいな再編が起こってもおかしくないでしょ。
  • 総合、複合型の下げが目立つ。大和Hは▲5.4%と検討。比較的歴史の浅いヒューリックも1ケタ台の下げ幅で頑張った。がんがれヒューリックドリーム。
  • UURが▲16.2%と、いちごHに次ぐワースト。ほか、NMF、Orixが▲12%超の下げ幅。多分築古のオフィス中心が嫌われたか。後は新興系も冴えない。福岡は▲15%と厳し目だったのはホテル商業が割合多いから?
  • 物流は堅いと思ってた一方、下げ幅のバラツキが目立つ。産業ファンドの様に、超長期の賃契が結ばれていて玄人好みのアセットがあるものは▲4.0%と限定的。後はラサールは▲5.4%と老舗の実力か。新興系のCRE、伊藤忠住商系ソシラの下げ幅は▲14~▲12%と深め。今後の成長で打ち返すしかないか。
  • 地所ロジ、三井不ロジ、GLPも意外と下げ幅が大きい。何故?これは判らないが、推察で言うと投資家層の違い?青目の保有比率?これは要フォロー。
  • レジは強い。やっぱりこうした地合いは強い。去年は賃上げも奏功してレジアセット自体が好調だったし。レジ、アセットとして見ると、あまり面白味のないアセットだけど。。。
  • とは言え、レジREITでもアコモ▲6.2%やスターツプロシード▲5.8%の様な例から意外なのはアドレジの▲13.2%とかまで。スターツは頑張った。コンフォリア▲10.8%で利回りも4%半ば位って買いじゃないですか?普通に。ケネレジも5%後半だし。ケネレジ位だと立地もまあまあで賃料も割と高くないと思っているんですけど。あと、サムティは評価分かれると思いますけど築浅だし、affordable marketの賃レジだからこれも投資口価格の手ごろ感からありだと思う。日賃住はスポンサーだけど大和証券になったし何とかなるでしょ。。。

 

でもまあ、一寸不思議に見えますよね。日経平均が▲6.1%に対してREIT全体で略▲12%下がっている訳です。これはツイッターでも議論が出てましたが、これに対する私の予想としては、REITは普通の株式と違って一般個人が保有する比率が高い事、故にこうした地合いでは狼狽売りを誘いやすい事だと思っていて、これはリーマンの際も同様であったと記憶しています。

 

一方で、プロ投資家はこの点を理解しているので、レジを中心にCash Flowや価格が維持されやすい、底堅いアセットのポートを中心に買いに行きます。従って、REIT毎の下落率の差異はここで生じるのでしょう。

 

総合系やオフィス系の下落幅がそこそこ大きかった理由としてはなんでしょうか。その背景としては、従来、好景気を追い風にオフィステナントの賃上げがガンガン進んでCash Flowの改善及び配当の増加につながっていた。然し件のコロナ禍を嚆矢に賃上げは厳しくなり、逆に賃下げ、スタートアップを中心としたテナントの退去・縮小によるCash Flow悪化を織り込んで売られていると考えます。

 

勿論、これが顕在化するのはもう少し掛る訳で、未だオフィス系のREITの下げはCash Flowの悪化という本質的な課題から巻き起こされるリスクを内包しています。

 

一方で、この地合いでディフェンシブなのはレジ系でしょう。確かに不景気になれば独り暮らしの人は親元に帰ったり、東京から実家の地方に帰る、より易い南瓜馬車に飛び乗るといったことも考えられますが、高級レジでない限り、人はどっかに住まなければならない訳で、引越にも転居(新しい家を借りる)にもコストが掛るので、それ以外のコストを当面は切り詰めて入居し続けることが期待可能です。ただ、リテナントの際の賃料アップは見込み薄になりますが、暫く目立って悪化するリスクは少ないかと。

 

あとは、長期的にはやはりこのコロナ禍があってもやっぱり日本はインバウンド観光に頼らざるを得ない訳で、JHRの様なホテルとして確りした物件を持つREITは暫く耐える必要があると思いますが、安値の時に仕込むには良いかもしれません。

 

 

さて、ある方から、物件の価値が下がれば、レバを利かせたREITの投資口はその下がった2倍の下げ幅では?という意見がありました。うむ、成るほど、少しStudyしてみましょう。

 

つまり、こういうことです。

 

価値が1000の物件があって、エクイティ500、Debt500 で調達しているとする。

その際に物件価値が20%ダウンしたとする。

そうすると、レバ500で不変の場合、EQに見合う物件Value相当は300になる。

つまり、500⇒300だとすると確かにEQの価値は40%ダウンですね、と言う話。

 

一寸そう思うのも確かにそうかもしれません。しかしここで注意して頂きたいのはこれはCash Flowに依拠したアセットファイナンスであると言う点です。つまり、我々が見るべきは賃料であり、ひいてはNOI、NCFです。そこからCap Rateで割り戻されたものが物件の価値です。

 

更に考えると、投資口価格の変化(=下落)はAsset Value≒Cash Flowの下落を予知して下げたのか、それとも別の事象に起因して投資口の価格が下落したのか。

 

このコロナの事象を踏まえると、ホテルや歩合賃料比率が高いリテールはそうかもしれません。しかし、それとは現時点で関係ないオフィス、ましてやレジや物流はここまで下げるのはあまり理由が無い気がします。勿論、不況が深刻化すればレジやロジでも無関係ではいられないでしょう。

 

投資口の配当はNCFからDebtの利払い、そしてAM報酬を支払った後になりますが、Debt利払いは足許大した金額では無いこと、後はDebtは元本返済は期中に基本的にない(Debtは基本満期一括返済でこの返済すら借り換えが前提になっている、というコーポレートファイナンスにどっぷり浸った銀行員からするとやや奇妙な仕組みに見えますが)ので、AMに報酬を支払ったらそれは略全て投資家の配当に回されます。

 

つまり、投資家の配当に影響を与える、そしてそれが投資口価格に本質的に影響を与える要素だと考えれば、トップラインである賃料収入の増減、費用増減、借入利払いの増減がキモになります。

 

ちなみにCap Rateの上昇又は低下は確かに物件価値に大きく影響をもたらしますが、これは実際に物件を売るフェーズになった際、簿価よりも高く売れれるか否か、それによって発生する益又は損、益の場合、配当の増加がもたらすでしょう。ただ、基本的に物件の入れ替えはそこまで積極的に行われる訳では本質的にないので、Capは低い方が望ましいでしょうけど、これのCompressionに依拠したAMは少ないと思います。

 

さて、長くなりました。つまり、私は以下の結論を述べたいと思います(長いんだよ。。。

①投資口の価値は本質的に個々の物件、そしてポート全体のCash Flowに依拠する

②だからCash Flowの本質的な悪化につながらないのであれば、その投資口価格の下落は歪みであり、一定の期間で解消される(はず)

③一方で、本質的な需要が無くなるようなエリアの物件、即ちド田舎のレオパは死ぬ

④安定的なCash Flowを生むレジREITは長期コア保有に適しているはずである。そしてレジREITが大きく下げており、5%台の利回りならば、買いではないか。

 

 

さて、ここからは駄法螺と適当な予想。ではどの程度下がるリスクは未だあるか、あるいはないか。レジについて限定して考えてみる。オフィスは・・・ちょっと賃料のボラティリティが大きいので難しいです。あと、物流もレジと同じ見方は出来るかな。

 

①賃料は大きく下がらない。ポートフォリオが大きい場合、個別物件の影響が限定的なので、全体でのNCF減少幅は10%程度

②Cap Rateの上昇はリーマン前一番低かったころからリーマン後一番高い状態まで大体80~90bps程度。

 

では試算。

Cash Flowが全体で100でポートCapが4.0%フラットとする。

この場合のポートのvalueは:100÷4.0%≒2,500となる。

では、賃料が▲10%、Capは4.8%とした場合:90÷4.8%≒1,875

 

つまり、75%程度。

 

REIT高値圏から75%ダウンはあると考える。

 

そうした場合、REITの投資口価格はどこで拾えば大けがをしないで長期的に期中配当を確保しながらCapital Gainも視野に入れることが出来るか?

(以下、暴落前の投資口価格をベースに)

     

    【暴落前】   【75%ダウン】  【本日終値

アドレジ:340千円 ⇒    255千円    269千円

コンフォ:350千円 ⇒    263千円    271千円

ケネレジ:210千円 ⇒    158千円       144千円

日賃住 :110千円 ⇒      83千円                 81千円

サムティ:110千円 ⇒      83千円      76千円

アコモ :700千円 ⇒    525千円    542千円

スターツ:200千円 ⇒    150千円    162千円

 

と言う事で、アドレジ、コンフォ、アコモ、スターツは未だ下げる懸念あり。

ケネ、日賃住、サムティは理論上下限を下回った、と。

 

まあ、愚考です。愚考。投資は自己責任で(笑)。

 

正直、スポンサーの能力、保有物件の評価(立地、築年等)あるので、超適当Valuationですので、あくまで酒のつまみです。ただ、恐らくいずれも本質的に下値の投資口価格だと考えます。とはいえ、株価が理論値割るなんて素人でも判る話なので、くれぐれも自己責任でお願いします。

 

もう既に高値で買ってしまった方は、配当をクビを長くして待って、暫く気絶してましょう。

 

 

長くなりました。久々の投稿だし。限界ぶろぐだし。

 

いいよね、もうゴールして良いよね。

AIRってもう20年前なんだね、しにたくなるね。。。

ガバナンスの不在は今も昔も本邦を苦しめてきたし、苦しめているか

野村監督が亡くなられました。愛妻家として知られ、今風で称するとOniyomeの手のひらで踊りつつ、実はOniyomeを躍らせていたのではないか、と思わせる節、そして結婚生活夫婦円満の秘訣は「諦め」と評する点、まさに男の中の男、旦那の中の旦那、どんぐりのなかのどんぐり、と称賛してもし足りないと思います。

 

我々、どんぐりの木は、故野村監督の「諦め」を胸に、夫婦円満を志し、来世、どんぐりの木となるべく、精進いたす所存でございます。

 

 

と、そんなヨタを書いている時点でこのブログを読んでいるあなたの木が、じゃなくて気がしれないと言いたいところですが、ありがとうございます。読者の皆様に支えられて生きております。ざまあ。

 

というか、そんな話をエントリーしようとしていたんじゃない。この本を足許読んでいるのですが、それらを読んでて、あと最近の出来事等で思ったこと。

 

天皇と軍隊の近代史(けいそうブックス) 加藤陽子

https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A9%E7%9A%87%E3%81%A8%E8%BB%8D%E9%9A%8A%E3%81%AE%E8%BF%91%E4%BB%A3%E5%8F%B2-%E3%81%91%E3%81%84%E3%81%9D%E3%81%86%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%8A%A0%E8%97%A4-%E9%99%BD%E5%AD%90/product-reviews/4326248505/ref=cm_cr_dp_d_show_all_btm?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews

 

当方、大学生の頃から、経営戦略論を端緒に、組織の意思決定とか失敗に至る背景、戦略ミス、そうしたことに強く興味を持っていました。野中郁次郎先生の「失敗の本質」から始まって、戸部先生の本や半藤さんとか。

 

あ、良く考えたらそんな本を読むよりも会計士試験の勉強とか不動産が好きなことがあの頃知っていたら鑑定士とか、少なくとも英語もっと勉強しておけばよかった。だから不動産ファンド業界でも末端で安い禄を食っているんですね。どんぐりですね。しにます。

 

話を戻しますが、この本を読み進める中、或いはこれまで色々な日本の幕末から明治、大正そして昭和の終戦までについて論じられた本を見ると、どうも共通する問題として多分日本が抱えていた、そして今も抱えている根本問題は多分「ガバナンスが不在、或いは極めておざなり」ということなんだろうな、と。

 

でも、その背景にはやっぱり理由がありますよね。どなたかが、ツイッターで呟いていたことが興味深くて、所謂「薩長連合」が本当に幕軍に当初勝てると思っていなくて、鳥羽伏見で一旦負けても西側に退いて長期持久戦をやらかそう、と考えていた節がある、というのは面白い話だなあ、と思った次第(真偽のほどは検証しきれていませんが)。

 

でもまあ、結構実態はそうだったのかも、と。だからこそ、明治初期のゴタゴタとか、明治10年西南戦争とその終結まで、明治政府は結構不安定だったと思っています。

 

不安定だった故に何を目論んだか。伊藤博文を中心とした首脳陣は天皇を掲げる一方、これに対抗しうる「権力の中核」が出てくることを排除すべく、組織上仕組んだ、とも考えられるなあと。議会内閣制も所謂政党についてかなり警戒してみている。

 

そうした中で何が起こったか、というと、権力というか命令構造が分散しているような組織になっている。つまり、軍は統帥権天皇が持つ、そして軍はそれをよりどころにシビリアンコントロールを何とか避けようとする。天皇はのちに昭和天皇に代表されるように、基本的に自分自ら実態的に権力を行使しようとはせず、君臨すれど統治せずの英国風を志向していた(様に見受けられる)なかで、更に軍隊は軍で、軍政機関と軍令機関、本国日本と在中の関東軍とで対立し或いは協調していた、というヒュドラ的な構造、そしてガバナンスが結局どこにあるのか良く判らない、ということが制御不能となって、開戦、その後もガバナンス不全が組織のありとあらゆる所に顕在化して、此処まで酷くならずとも、みたいな行動に至る、という所で、日本の問題は独裁者の専制的なそれというよりは「組織におけるガバナンス不全が蔓延したこと」にある気がしています。

 

これ、実は厄介だと思っていて、だれか巨悪が独り(乃至数名)居てそれによるものなら未だしも、結局誰もが「え?俺?」みたいな当事者意識が若干薄いこと。然しながら、一方で、東京裁判において、米国を中心とした戦勝国は特定の個人を戦争犯罪人として裁きますが、これは第一次大戦の時とは異なった特徴的なこと。

 

例えば、第一次大戦後のヴェルサイユ体制において、負けた国は「負けた国の国民全体」が経済的な巨額の負担を追ってその責任を支払う貌にしている。しかしこれはのちに大きな禍根を残した訳だし、実際これの建付けを仮に取った場合、日本側の「負けたらもっと酷い事になる」という狂気と恐怖を煽りかねないことから、多分「特定の個人に負わす」というようにしたのでしょうか。

 

いずれにしても、実際「ガバナンスの不全」であるにもかかわらず、特定の個人(といっても確かに彼らも彼らで非常に問題があったのは間違いないのですが)に負わせて一旦、正式には終いにした(細かな事項では色々日本人全体で負を背負った訳ですけど)。

 

これが、結局のところ、日本において何が問題でそれをどうすべきだったのか、と言う話が、「戦争の残虐性」や「日本(特に軍)の愚かしさ」又は、右派においては「解放戦争であり正しいこともやった」といった様な、話が夫々すれ違う事態になっているのかと。ただ、この点をそればかり論じていては本質的な解決には成っていない。

 

戦後、昭和の体制というのはそもそも戦時下の総力戦体制が土台になっていると言う話は少し事情を知る人であればご存じかと。従って、分断しているのではなく、やはり連続して続いているのではないでしょうか。

 

そうした中で、旧守派が一掃され、若年人口も多く、且つ米国を中心とした西側諸国が防共堤の一つとして日本の価値を見出したことにより、空前の発展を遂げたことは僥倖でした。

 

然しながら、本質的なガバナンスの問題はやっぱり残存していた訳で、それが成長の鈍化、社会の成熟化によってより顕在化したのが平成時代だったと思う次第です。

 

で、平成の「敗戦」では前の時とは異なって判り易く街が焼かれたり兵隊さんが死んだり、民間人が犠牲になったと言う絵面では無く、経済的に追い込まれた結果、所謂「氷河期世代」「ロスジェネ」を生み、そこで一部の者は追い込まれて死んだり、望まない処遇を囲っている訳で、そうした広義では「戦死」したとも言えるかもしれません。

 

で、最近、「戦死したロスジェネ」に対して"軍人恩給"ならぬ再チャレンジの機会を、と脚光が当たっている訳ですけど、根本の問題がする―されている感はやっぱり会って、それは結局の所、根幹にガバナンスがやっぱユルユルってところがあるんでしょうなあ、と。どうするんでしょうね。

 

 

という、便所の落書きの更に取り止めない話でした。

いくつかのTips

一つ大きな章建てで”記事”にする程でも無いけど、ってことでいくつか。最近見聞きした話など。話の都合上、アノニマス的な話ですが、まあ、便所の落書きレベルと考えてご笑納ください。

 

1.米国とトランプ

弾劾裁判を無罪で勝ち取ったトランプ大統領。然しながら、身内の共和党ですら黒やろ、と思っていたのが内心、実際、Mitt Romneyが反対票を投じた事は「お察し」と言う感。

 

但し、結局これを覆せない、と言う所に今の米国とトランプの一極集中が見て取れる。強い、無茶苦茶強い。そう言う訳で共和党の大半は付いて行かざるを得ない。トランプの様に無茶苦茶に見えて、私生活では子供を育て酒を飲まない、という所は保守層、福音派からのウケが良い。米国では「多様化」が進んだ結果、マスの支持層が判りづらい。従って、判り易く、「圧倒的多数派」でなくても、一定の票田が見込まれる従来からの共和党保守層を確りと抱えるトランプが引き続き強いだろう。

 

と、いうのは一般的な見方。ただ、今後も4年間トランプが続いた場合、彼のDeal Orientedな姿勢は米国のGlobalレベルでの信頼性を徐々に損ない、結果的に衰退に向かう可能性が大きい。

 

現状、トランプ有利だが、前回の大統領選挙ではトランプはそうは言っても泡沫候補だったし、最後までヒラリーが本命視されていた。今回もどんでん返しはありうる。

 

 

2.組織の信頼度が著しく下がっている日本企業

日本人の、日本における組織(特に会社組織)に対する信頼感はこの20年で大きく毀損された。

 

「70歳まで雇用」を奨励する政府と「40~50代リストラ」を加速させる企業

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200209-00010000-jij-bus_all

 

そんな中で、企業のパフォーマンスの悪化の要因として、信頼性が低下することによって、ひいては従業員のコミットメント・モチベーションの低下は甚だしく、組織が活性化しないために、結果として海外企業との業績に水をあけられている。リストラクチャリングを進めた結果だが、これは「縮む」ことしか一義的に選択してこなかった日本企業の経営層に大きな問題がある。

 

従業員は「置かれている立場」に安心感を感じない、精神的な不安を感じると長期的な何かを生み出す、考え出す、と言う事が出来なくなるので、結果として「以前の焼き増し」的な提案しか出せない。これでは「イノベーション」は望めない。

 

副業の解禁や流動化、と言ってもそれに輪を掛けるだけでないか。不安である(と言う話)。

 

 

3.某メガバンクの内輪もめ

関連リース会社が複数ある某メガバンク。リース会社の集約に失敗している現状でまとまりきれていない。反旗を翻した会社に対してやったのは、人材の引き上げ、業績評価の見直しでその会社に仕事を振らない、という「制裁措置」。遠心力が強く働く現状でどう収めるのか。

 

リストラ策も提案されている中で、中は結構揉めている様子。嵐の前にやっていることはこうした感じだから、株価が割安だったり配当利回りがそれなりでもこの会社の株を買うのは怖い。

 

 

4.ホテルの話を聞かない

最近、ホテル案件の話はすっかり少なくなった。18年位だと京都大阪での開発案件の話は良く聞いたが、すっかり音沙汰ない。

 

ホテルやっているAMと話をすると、既に賃料指しい引いたら物件単体でのコストは赤字でどうするんだ、という話になっているPJもあって、あと3年は大阪京都はもう案件見向きもしないだろうと。

 

あとはそもそもオペレーターを引き受ける所は無いと。固定賃だとなおさら。MCであるかどうか。Cap Rateの相応の引上げは不得己か。

 

マンションを買うならどこが良いか、という論争(アメリカの事例を踏まえて)

まあ、賃貸vs購入派の論争って、最早異教徒を自己の宗派に引き込もうとする話だから酒の肴なら兎も角、真剣にやりだすのは不毛なので多分You Tubeで水着ねーちゃんでも見てたほうがいいと思う。

 

それでも、「住処」という人として、「食う・寝る」の基本的な生きるための場所として考えたときに、「良い悪い」を別として、今後本邦にどの様な流れが来るであろうか、ということをどのポジションの人間であっても「考えること」に意味はあると思っていて(Disるのではなく)、それを受けて、自分はどう暮らすか、という話な気がしています。

 

さて、その場合、結局日本で起こることは、何だかんだで米国で起こったこと、起こっていることに影響を強く受けていると思います。

 

という訳で、春先に米国出張することもあり、現在米国に関するStudy、ヒアリングを国内でしているなか、今後日本に起こりうるであろうことを想像(妄想)しつつ、米国現地で見て色々と考えること、それが今年前半の主なテーマになると考えています。

 

事前に申し上げるが、米国と日本の事情は異なるので単純比較は当然できないことは所与の前提。従って、個々人の志向のTipsとして見ていただければ幸甚です。

 

 

1.After Lehaman

米国における過去経緯をその起源から書いてみる、ということを一寸考えたんですけど、それこそ本が書けちゃいそうな話なので止めましたw。見る方も疲れるし。ということで、リーマン後に起こった事象を見ていこうかと。まあ、もう10年以上経ったわけですし。。。

 

リーマンの後、米国政府が介入する貌で、住宅金融環境は再度「復興」された訳ですが、元には戻らず(戻らせない)。即ち、①Bad Boyの一つとなった証券化手法においても、オリジネーターが最劣後の持ち分の一部を保有するようにする、といった規制、②金融機関においてもVolcker Ruleの適用が進むことによってPrincipla Investmentが制限されるなど、景色は一般の人には判別し難いのですが、変わっていきました。判りやすい所では、与信審査基準の引き上げ、自己資金比率の引き上げ、といった形で、「借り難く」なった、ということは判りやすい変化の度合いだったと思います。

 

また、米国における産業構造の変化はさらに明確になっていきました。リーマン以前からやや傾いていたGMを代表する自動車産業、メーカーはやられましたし、GAFAが本格的に勢いを増したのがリーマン後だったと思います(もちろんその前から大きな会社でしたが)。

 

つまり何が起きたか、というとTech Companyを中心にそこで働く人は一定のサラリーを獲得できた一方、そうでない業界の人はイマイチ給料の伸びも不冴。また、Tech系に入るにしても、大学卒業までに相応の水準の学生ローンを借り入れている若年が生まれる訳で、所謂MillennialsのEco志向といった消費性向は少なからず、Incomeのキツさ、Debtの多さに影響を受けていると考えます。

 

2.堅調な賃貸レジ

 

米国の不動産Marketにおいて、賃貸レジは非常に堅調といえます。レポートを見ていてもRent Glowthが年5%なんてチラホラしてます。

 

何故賃貸レジが堅調か。それは以下の要素によるものです。

①そもそも人口が増加しているお国柄

②インフレが前提の社会

③今まで持ち家を買っていた人も賃貸レジを借りている

④貸し手の力が強い

⑤嗜好の変化に伴う職住遊近接志向と集合住宅

 

①乃至②については想像がやや容易かと。即ち、賃料が上昇するにはそもそも豊富なニーズがあること、そして経済学的にはインフレが前提であれば更に、という話です。

 

では③は何か、という話ですが、これはリーマン後の社会・制度構造の変化にも起因していて、持ち家取得のための住宅ローンの借り入れが頭金2割以上など、そのハードルが高まったことや、本邦と同じ様に住宅ローンを借り入れするにも、ある会社での勤務履歴が問われる訳です。つまり、何年働いている?という話。転職が当たり前の社会では、給与水準が高くても、ここで引っかかる人も出てくる訳です。結局これも証券化商品の厳格化が影響している、という所作。

 

④について言うと、米国は昔からですが貸し手が優位です。不動産クラスタなら常識ですが日本では借り手の力がすごく強くて、再開発でも「富士そば」や「弁護士事務所」がネタにされるほど、ゴネまくって補償金せしめた、なんて話はネタにされる位。一方米国では、契約更新に至らなければ、普通に契約を解消・終了させ、現行tenantはKick Outされてしまう。そんな訳で賃料が低いテナントでも賃上げ又は新たな賃料が高いテナントへの入れ替えが可能となる。

 

借り手の保護、という観点ではそれは問題だ、という話もあるでしょうが、一方で、だからこそ借りやすくなる、ということもあるかと思います。Pros&Consの世界でしょう。なお、米国においても、州や地域によっては賃上げは一定の水準に留める様にZoningしていたり、Affordable Residenceを備える前提で許認可を下ろしている物件もあります。この当たり、本邦もStudyを深める必要があるかと。

 

⑤について。これは③にも関連しますが、Millennialsを中心に職住遊近接というのが一つのキーワードになっています。日本でも、特に東京で「職住近接」というWordを大手デベが打ち出しているのを見たことがある人も多いと思います。USではこれに「遊」が加わっていて、都市化が更に進んでいるようで。

 

かつて米国では、都心であるDownTownはあまり治安が宜しくない、ということで郊外に一戸建を建てて自家用車でオフィスに通う、といったCaseが多かった様です。実際、高速道路のICの近くにオフィスがあって、ここにProfessionalsな会計士やリーガルの事務所が置かれていて、そこに勤務する、といった人も多かった様です(今やこうしたオフィスはかなり苦戦しているようですが)。

 

米国はやはり他民族の国で成り立ちも人種差別の問題を抱えていたわけなので、富裕層は都心ではなく、別に郊外の住宅とその周辺に比較的高級なショッピングセンター・モールがあった訳です。まあ、モールも今やAmazonにブチのめされて。。。ですが。

 

前述通り、Millennialsは結構借金を負っている人も多い訳で、車でオフィスまで移動して、なんて余力もないし、そもそも車で移動で。。。なんて「だるい」訳です。それよりは近しいオフィスで働いて、近くに住まうというスタイルをとりたい(ある意味、WeWorkの世界観はそこから派生しているでしょう)。そうなると都心とか或いは利便性の良い地域に位置する集合住宅(賃貸)はニーズに適している訳です。

 

大体、そうしたレジは最近開発されたり、もともとあった物件(レジだけでなくオフィスやその他の用途だった)をリノベしているので、エッジが最近のもので、アメニティも充実しているわけです。ジムがついていたり、プールがついていたり。それでも賃料はそこそこするんですけどね。

 

 

3.投資家も金を入れる「賃貸レジ」

 

(1)債券が"しんでる"ので。。。

 

Incomeを生むアセットってやっぱり投資対象としては底堅い訳です。Tech系の様な、要はユニコーンは完全に将来性にBetする訳ですが結局どうなるか、なんて分からない訳です。Twitterにいる株クラの様にトレードする訳にもいかないし、企業年金を扱っている様な大手投資家にとっては、一定のCashを生むアセットは必要な訳で。

 

本来、そうした場合に投資を考えるのは債券な訳です。一義的に言えば国債です。しかしご存じの通り、ゼロおろかマイナス金利政策の結果、通常持ち切りの場合、債券はマイナスなので、長期で保有して利払いでCashを期待できない訳です。

 

じゃあ、寝ますか、という訳に行かず。何かに投資しないとみんなの年金が払えなくなってしまうので、実物資産で賃料収入を、一般的に安定的にCashを生む不動産投資にお金が流れる訳です。

 

(2)やっぱり米国・そしてレジ

 

上記の様な投資家の場合、どこに投資するか、となると「通貨としての安定性」「法体系の安定性」「取引の流動性」を考えるとやはり米国となるのは少し考えると自明の理の気がしています。

 

では、どのアセットに投資しますか、となると、賃料収入の安定性を考えるならば、やはり賃貸レジかあるいは物流施設になると思います。

 

オフィスではないのか、という話ですが、オフィスはやはり一般的に賃料のvolatilityがやや強いこと、実際にExit(投資を終わらせてCash化すること)を検討した際に、マーケットの環境によってそのCap Rate(利回り)についてもvolatilityが激しいので、長期で安定投資したい、と思う人にはやや頭を悩ませるアセットではあります。

 

ホテルは更にvolatilityが高いですし、商業(リテール)はAmazonにやられてモールを中心に不透明感がすごい。Student Apart、Storageもちょっと新興アセットだし、マーケット規模を考えるとちょっと悩ましい。そうすると、ニーズが強い地域の賃貸レジはやはり皆向き合いやすい訳で、だから買い手(投資家)が注目しやすいのです。

 

(3)金利上がらない?

 

少し前まで、リーマン後の金融緩和状態を経済環境が改善してきたことに伴い、「正常化」しようという流れがFRBはあったのですが、政府側、即ち、トランプ大統領の再選狙いや、足元の世界経済の不透明感が増す中で、米国も金融緩和を止めることができない、というジレンマに陥っている状態。

 

米国において、低金利環境が継続する一方、インフレ及び需要に起因する賃料グロースが続くのであれば、運用側としては有利な環境な訳ですし、早期に投資をすればするほど、リターンは改善される訳です(IRRの観点では時間も加わるので、早めにやればIRRが良化するとは一概に言えませんが)。

 

 

4.ミクロ/教育という観点

 

という訳で、賃貸レジのマーケットについて述べきましたが、So what?という話も一般的には強いでしょう。という訳で、不動産屋さん・投資家以外の一般人に近しい話を一つ。

 

(1)教育という観点

 

米国の初等教育の根幹はやはり公教育。東京都心の中高一貫、私立、お受験、という流れはやはり特殊です。一方、エグいのは公立小学校でもランキングがあって、ランキング上位の小学校は非常に人気があるので、その地域のレジは分譲でも人気があったり、賃貸でもお子さんがいるご家族が入居を熱望する、ということが多いようで。

 

従って、都心の職住遊一体を希望して住み始めた場合でも、そもそもあまり環境が良くなかったエリアの場合、住環境や商業エリアはgentrificationが進んでも、「学校」までは未整備のため、良い教育を求めて違う地域に引っ越すケースも。

 

(2)教育が整備されているエリアは所得も期待できる?

 

投資家(AM)はどこに投資すればより良いリターンを挙げられるか、ということを常に頭の片隅で考え続けている変態さんですが、そうした彼らの一部が着目しているのは、優良な大学がある都市のレジだそうです。

 

というのは、そうした先端科学・Tech系の技術が開発され、それが事業化されるとよいビジネスが生み出され、そしてそこで働く人は賃料負担が相応あるので、そういったエリアの賃貸レジは非常に望ましい、良いリターンを挙げるだろう、と考えている様です。確かに、文京区のレジはいい値段で売れる訳でこれは本邦でも同じかもしれません。実際、関西でも、北野高校に受験するために人気のある中学校の学区などは人気がある、という話を在阪の人から伺ったことがあります。

 

5.我々はどこにBetした方が良いか

 

ということでこれら米国の事例を踏まえると、本邦において住宅投資をするならば以下の2点が重視すべき、という話になります。つまり、

①人口が増加しているエリア

②教育環境がよろしいエリア

まあ。。。あまり面白い結果は出ていませんが、結局のところ、奇をてらったことに何か勝機があるか、というと厳しいということで。

 

またつまらぬ駄文を書いてしまった。。。

不動産マーケット雑感/追記(Debtの考え方)

Capitalサイドのコメントを書いていて、元々自分の出身はDebtレンディング畑のお野菜だったなあ、と言うのを思い出して。

 

でも、不動産取得におけるDebtの考え方についてBorrower(但し、私募ファンドやREITは除く)もLenderも実際ちゃんと理解できていないんじゃないかなあって思っています。ちょっと挑発的ですが。典型的なのは借入期間の長さ、についての考え方。

 

 

1.確かに一般的には長期債権はリスクが高い

 

いや、まあ、普通の企業における運転資金貸出とか典型ですけど、ローン期間が長期になればなるほどリスクは確かに高い。実際国債含む債券も同様です(債券市場が死んでるけど、いま)。教科書的にはイールドは長期になればなるほど「ある」。

 

まあ、一般的な事業法人でも長期になればなるほど業績見込みなんて判らないですよね。ぶっちゃけ1年2年後の業績予想だってメーカーを中心に判ったもんじゃない。・・・いや、アナリスト諸兄をdisっているつもりは一ミリも無くて、マジで判らないんだ。これが。

 

昔、Bankで審査部署にいた事もあったんですよね。審査部署でも中小・中堅企業を対象とする部と大企業を中心に見る部があって、私は後者に所属しててメーカー系の企業を見てた。当時大企業の業績がリーマン後でぐちゃぐちゃになってブチ壊された後、大震災、円高、Korean企業の浸食と滅茶苦茶になって日立の史上最大の赤字の陰で電機各社の赤字が可愛くみえたりしたり。そんなご時世。で、業績見通しとか分析を結構真面目にやるんですよ。時間かけて資料探して、営業店からのヒアリングも踏まえて。証券各社のアナリストと意見交換して。シーテック行ったりモーターショー行っておネーチャン見たい気持ちを抑えてその会社の技術者と話したり、色々。

 

で、渾身の分析をする訳ですよ。外す訳ですよ。3ヶ月くらい後の四半期短信で。はい、クソー。クソですわ。うん。。。自分。

 

正直、鉄道(の鉄道事業)とか電力・ガスといった、人口×単価がトップラインになるような業種だったら兎も角、メーカー系や内需系は厳しいですね。エンタメ系とかね。昔、知り合いが西海岸にいたときにPicture Financeやってたそうで話を聞いたことがあるんですけど、「ありゃファイナンスじゃねえな。バクチ」と言っていたのが思い出深いです。

 

話は長くなりましたが、コーポレートの業績ってホントに見通しにくい。

 

なので、確かにコーポレートファイナンスの世界ではローンは短い方を銀行は志向しちゃう。・・・長い貸出の方がSpread取れるとか、固定化Swapでフィー抜けるとか邪な思いはあれど。。。

 

 

2.一方、不動産の業績(Cash Flow)見通しは

 

コーポレートはそんなノリなので、不動産への融資も長ければ長いほどリスクである、って思っちゃうんですよね。長期でこのPJってリスク何じゃないのか、と。

 

でも、収益不動産のCash Flowって一般的に賃貸需要・物件売買Marketが厚いエリアで一般的なアセット(レジ、オフィス、物流、商業、宿泊特化型ホテル)であれば、安定的な訳ですよ。一棟貸しの物件で契約自体が普通借とかだと急に退去されると大変ですが、一般的なマルチテナントで賃契も普通でMarket並の賃料水準だと空いても埋まるし。大口テナントで占められる物件でも賃契で契約不可期間や解約ペナルティが確りしていればCash Flowは少なくともコーポレートよりは圧倒的に見通し易い。

 

 

3.で、不動産融資は短い事がいいことなのか

 

過去、リーマン前もマーケットに過熱感があることは一部のAMで認識されていたことでした。なので、彼らは「マーケットが本格的にヤバくなる前に売り抜けよう」と考え、だからこそ短期でのファイナンスを考えた様です。だってその前に売り抜けるもんねー、と。また、銀行も長いとMarketの不確実性もあるしリスクだ、と思って長期のファイナンスを避けた様で。

 

で、どうなったか、というとMarketがぶっ壊れたのでExit出来ない。で、DebtのDueが来る。さあどうなるか。

 

はい、Fire Sellです。ぢごくのかまのふたが開いたぞ。

 

大体、Marketがぶっ壊れて阿鼻叫喚の最中、ヘタレのシニアレンダーにリファイナンスするのはむっちゃしんどいです。しかもMarketが良かった時のValueを元にしたLTVは物件価値が下がるとLTVも上がって、同じ水準でもリファイナンスは厳しくなる。これが仮にメザニンレンダーでも読んでた場合で、メズも正直これ無理、ってなるとリファイナンスのハードルはスカイツリーかよ、って感じになります。

 

シニアが毀損した事例はそんなに多くは無いのですが、無くは無いですし、CMBSもこの当時ガンガンデフォルトして日本においてはその後CMBSのマーケットは爆散します。・・・まあ、個人的にはFSAの方針も悪かったと思っているけど。。。メザニン?ああ、多分結構しんどかったんじゃないですかね。

 

で、そうした酷い目に合った訳ですが、不動産はサイクル物なので、一定期間を過ぎると価格が回復して今や良い値段な訳ですよ。天王洲も良い値段な訳ですよ。ええ、天王洲。あれ。クソ、あのとき苦労したの何だったんだよ。後2年待てばロスなんて無かったろ、いい加減にしろ。Cash shortするから限界だったとは言えさ、追いゼニ。。。いや、出すの厳しいけどさ、AMも知らんふりしやがって。でもレンダーが追いゼニ出してPIK付けたって回収できたよな。うん結果論だよ結果論。はいはい、クソ、今でもモノレールからあの島見ると爆破したくなるよな。

 

FxxxxxxK!!!!

 

はい、すみません。ちょっと錯乱しました。

 

でもまあ、市況を乗り越えることが出来るローンの長さだったら、Financial Covenantsに引っ掛かったって、強制売却のステージになっても、売ってもヤバいじゃん、AmendしよWaveしよ!で乗り切れば、DueまでにMarketも若干回復して何とかなる訳ですよ。

 

これらを踏まえると、不動産投資においてはローン期間は短い方がリスクが高いと思われます。想定するExitタイミングでMarketが悪くなっていたときに時期をずらす、スキップする、という選択肢が取れないからです。

 

でも、ノンリコース・リコースを含む広義の不動産ファイナンスにおける融資においてレンダーサイドですら長期はリスク高い、の頭の審査役や社内のお偉いさんが居ると、何とか期日を刻んで来ようとする。コーポレートにおけるDebt脳とでも言うべきか、ファイナンスするモノとファイナンスの意図を多分ちゃんと整理出来ていないのだと思います。そして出来ていない人は銀行員でも多いです。ぶっちゃけ。

 

 

4.普通の住宅ローンも期限の利益は長く取るべきだと思う

 

35年ローンなんてこのご時世ありえない、と言う人が散見されますが、確かに35年間の期限の利益を得ているローンなんて無茶苦茶ありがたいですね。ありがたくないですか?。与信がピッカピカの企業でも10年超えてDebt引くことって結構厳しいですからね。まあ、テールヘビーにして、実質30年返済ピッチで5年で区切ってリファイナンス前提とかありますけどね。むっちゃ貴重。ありがたみを噛みしめないと。

 

まあ、35年後に自分自身がどうなってるか判らないし、収入が維持できているかも判らない、と言うのは確かに理解できるんですけどね、そもそも35年でローンを引っ張ってもDebtと現預金を両建てにしておいて繰上返済するとかゆっくり返す、ってのを選べばいいと思うんですけどね。

 

当初20年で引いて、資金繰り厳しいから35年にするってことは借り換え以外現実的でないし大変なので、普通に初っ端から35年でレバを引いて返したければ手元資金を厚くして返しちゃう、ってのが良いと思いますね。

 

あと、FPとかやたら繰上返済進めまくる人居ますけどね、金利勿体ない云々で。でもね、いざという時にCashが枯渇した時のリスクを考えると、一定水準でDebtと現預金を両建てにしておくことって大切だと思いますね。これは資金繰りの観点ですが。

 

良く言われることですが、赤字じゃ死なないけど、資金繰りで死にます。会社も人も。

 

 

5.投資におけるDebtの考え方って真面目に考えないと

 

いやね、WACCだCAPMだのって言う話よりも前に、そもそもDebt調達・運用戦略って考えないといけないと思うのですよ。自己所有物件の購入借入とかも含め、不動産投資のDebtに対する考え方って、もう少し整理しないといけないんじゃないかな、って思います。みんな古い物差しを使っているか、別のモノを測る物差し使っているんだもん。それはあきませんわですわ。

 

ということで。

おわり。

不動産マーケット雑感②(商業、物流、ホテル)

雑感①、としたからには②を作らないと、というプレッシャーを自分自身に与えていた(だからどうした、と言う話だが)。

 

①からの続き。商業、物流、ホテルなど。

 

 

1.商業

 

(1)兎も角人気が無い、特に地方 and/or 郊外型商業

 

KDXの商業リートの様な、スーパーがコアでクレジットが相応問題ない先だといざ知らず、本当に商業は人気がありませんでしたね。あるAMさんの話では、エース級貼り付けてみたけど全然出来る気がしない。担当云々で無くて、地合い的に無理、いい加減彼のキャリアにも為にならないから(アセットタイプを)変えてあげた方が良いんじゃないかな、という話も。

 

スーパーだと、必ず使う人がいるので、これがコアテナントとして結構な規模を占めていた場合、まあ、使う人もいるしね、で、クレジットも悪くないからなんとか。。。なのですが、物販になると本当に厳しい。まあ、ありがちなのは衣料品ですがこれはどこからも本当に人気が無い。地方だと商圏分析をレポート会社に頼むと、結構彼らもそこまでネガティブなことを書こうとする人では無いけどもトーンがやや抑えめだったりします。。。新規で店は出来なくてもそのエリアが弱ってくるともう本当に先が見越せない。

 

ロードサイド店舗もそうですし、首都圏でもちょっと郊外の、でもそこそこ大きな駅でも大規模商業ビル、百貨店は辛い状況です。ちょっと前だと、松戸の伊勢丹はファンド案件でしたが、あれも結局伊勢丹は撤退しています(その前にファンドがExitしたかは不明)。

 

 

(2)人気が無いのは日本だけ?

 

商業が全然さっぱり、というのはどうも日本の人口・社会構造、というのもさることながら、Amazon Effectの影響で米国の商業モールがかなり追い込まれた、という実例があるので、特に海外のエクイティ(以下、EQ)投資家に人気が無いのです。

 

証券会社の担当曰く、POやるREIT AMや私募のAMに対しても、商業は組み込むのはちょっと辛いっすよ、と話している、という説明を某証券会社様から伺ったのが今年の春ごろだったかな。。。確かに人気が無い。

 

米国に関して言えば、Amazonの影響も確かにあるのですが、米国においては90年代に商業モールがかなりガンガン建てられた、という影響があるようですね。

【Newsphere/変わるアメリカのショッピングモール】

https://newsphere.jp/business/20180109-1/

 

 

(3)でも、「商業施設」のニーズはある

 

ただ、米国では大半のモールが死に尽くしたか、というとさにあらず。弱い所は運営が死んでもM&Aで買収されて、複合施設(商業モールだけでなく、レジ、オフィス、メディカルの複合)へのコンバージョンが成されている様です。

 

また、AmazonがWhole foodsを買収している様に、E-commerce企業もリアルの店舗を保有することで、Pop Up店舗網を持ちたい、というニーズがあるようで、この辺りの融合も進んでいくと思われます(現状、密林のWF買収は成功している、とは言い難いですが)。

 

欧州に関して言えば、ショッピングを楽しむ文化、GAFAへの警戒心、を考えると、E-commerceがリテールに乗りこんで行って制圧する、と言う事は多分現時点では起こり得ないのかな、と。

 

日本においても、地方(と言っても人口20~30万人位は必要)に行けば行くほど、「イオン公国」な訳です。「IZUMIユメタウン」万歳な訳です。意外と平日の昼間から家族連れが居て、子供服売り場に若めの人妻が居る訳ですよ。まあ、流石に10万切ってジジババが多くなりだすと、どちらかと言うと、高齢のマダムがお散歩してお友達とベンチで談笑してる、ってケースが多くなりだすのですが。。。ただ、いずれにしても地方だから、といってもちゃんとエリア分析したうえで、クレジットが特に悪くなければ、そして賃貸借契約がちゃんと一定の解約不可期間とペナルティ条項で縛っておけば、Cash Flowでは安定的な筈なのです。

 

 

(4)で、なんで不動産投資の上で人気が無いのか、という理由

 

が。。。。。。

 

結局、「出口が見えない」というのがこのアセットの現時点における大きな課題だと思っています。

 

賃貸レジだと、言うても10億円とかです(特に地方だと)。そうすると、そこそこの小金持ちや上場企業の資産運用会社など買ってしまう事も出来る訳です。だから、レジは流動性が高い。

 

一方、商業施設は2ケタ億円半ばから後半、下手すれば3ケタ億円(100億円以上)という話で。そうすると、流石に金持ちでは買えないので、機関投資家(私募ファンド、REIT)に買ってもらうのが一番シナリオとしてはありうる。。。のだが、昨今のアレ、日本の人口動態を考えると、とてもでないけど、出口が想定できない。適当なCapはいくらで、いくらで売れる、と言うのが良く判らない、と言うのがあって、これは検証のしようがない、と言うと嘘になるが、「一度ネガティブ」という思いが頭にすりこまれた人の志向をクレンジングするための技がなかなか見当たらないのです。

 

これを上手く説明し、腹落ちしてもらう事が出来ないと、中々社内・投資家が首を縦に振らないのでしょう。

 

 

(5)やっぱり来年もつらい。。。か?

 

イマイチというかイマさんくらいで人気が無かった商業アセットですが来年はどうでしょうか。これに関して言うと、東京五輪云々あれど、やっぱり厳しいのでは?というのが個人的な予想です。

 

まず、消費増税の影響は2019年においては恐らく第4四半期のみでしたでしょうが、2020年は通年に亘ってその影響を受ける貌となります。各種報道の通り、足許の家計所得が伸び悩む中で、お財布のひもはかなりがっちり閉まったままでしょうし、そもそも経済関連のニュースをみると、各企業業績の減速、中高年のリストラが報じられているので、「消費が進む絵」がなかなか見えにくい気がします。

 

若者も、「そもそも金のかかることはやらない」という風潮が結構強い気がしています。卑近な例ですが、当方の後輩たちも来年結婚式を挙げる予定ですが、どの子たちも所謂「結婚式と披露宴」という"昔ながらの"ものは行わず、海外で家族と、とか、物凄く人数を絞って超小規模で、という挙げ方になっています。こうした中で、商業施設の根幹である、各種店舗の売上は伸び悩む構図というものがあっという間に皆さんの目に浮かぶでしょう。

 

加えて、東京五輪前に施行される「買い物袋有料化規制」も実は小売りにボディブローのように効いてくると思っています。買い物ポリ袋について有料化するということは時代の要請・流れではありますが、買い物客側としては、「買う量を減らす」インセンティブとして働くでしょう。減らした分、然しながら「必要なモノ」はどう手当てするか、というと、特に「重たいもの」や「かさばる物」、要は水や米、かさばるオムツといったものが先のAmazonに代表されるE-commerceに流れていくでしょう。そうすると、スーパーも一部売上が減少するシナリオも想定されます。

(一方で、物流アセット側にはプラスの影響が出てくる、と考えることも、強ち「風が吹けば桶屋が儲かる」という話で整理できなくなるでしょう。)

 

やっぱり来年も商業アセットへの取り組みはハードルは相応高そうです(とは言え、やり方次第かな、とも)。

 

 

2.物流

 

(1)絶 ・ 好 ・ 調 !

 

上述の商業アセットとは打って変わって絶好調ですね。

 

首都圏では2019年に60万坪近く新規供給された見通し(これは史上最高水準、と言われている)ですが、空室率は過去最低レベルとされる2.4%、作れば埋まる、という話で開発者側は笑いが止まらなかったのではないでしょうか。

 

関西エリアにおいても、一時期問題視された湾岸エリアの空室の消化が進み、内陸エリアも空室は略ゼロ、CBREのデータに基づくと、空室率も直近で5.6%と、巡航水準にまで落ち着いた、と言えるのではないでしょうか。賃料も上昇トレンドになっています。

 

 

(2)Capも絶好調

 

昔物流のCapって5%を超えている、というイメージが強かったんですけどね。今やそんな事言っていると物件が買えません。。。

 

内陸部のエリアでも3%台後半、というCap水準で取得された、と言う話もチラホラ耳にします。また、2020年には愈々、プライム立地でスペックも高い物件に関してはCap Rate 3%前半のかなりCapが出るのでは、という話も調査会社・鑑定さんから耳にします(でもまあ過熱しているよね、という二の句が付くけど)。

 

 

(3)金の送りこみ先として物流位しかめぼしいのがない?

 

金があるけど出物が中々無い(オフィス)、高くて買えない(レジ)、需給が壊れているっぽい(ホテルの一部エリア)、シナリオ的にお金出しにくい(商業)、と、まあどのアセットも一長一短ある。

 

そんな中で、物流アセットは、確かに高いけど、需要は底堅く、賃料も坪単価ではそこまで高くないので、大きな変動が無く、換言するとCash Flowのボラティリティが小さいが故にコア投資としてはうってつけ、という側面があります。しかも普通にでかいので、EQのDry Powder消化も良いし。銀行も金貸してくれるし。

 

だから、新規PJもドンドン建ちあがっている。アルバイト等人員確保の観点から駅近にしてみる、とか施設のアメニティ充実させる、とか。最近の物流施設、下手すると、築古Bクラスオフィス以上に環境整ってる。。。

 

また、面白いのは昨今叫ばれている「働き方改革」と言う点から、トラックの運ちゃんの運転時間の限度、そしてそれをカバーするために、内陸部分に中継的な物流基地を用意する、といった考えもあるそうです。ただ、個人的にはそうしたプロジェクトだと、大規模マルチテナント型の物流施設立地として成熟していないので、リーシングどうなんだろ、と思う次第です。BTSにしたら後継テナントがいるのか、とか。。。

 

センターポイントが手掛けたPanasonicのディスプレイ工場からの物流施設コンバージョン(今はラサールのファンドが持っている)も面白いですね。最初は一部床荷重が、と言われていましたが、ちゃんとリーシングも進んでいます。こうした工場のコンバージョン(或いは工場が撤退してからの再開発)は引き続きあるのだろうな、と。事実、Panaは姫路の液晶工場を閉鎖する様ですし(https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112100923&g=eco)、JDIの絡みや高炉系のリストラなど工場跡地絡み再開発はかなりの高値でBidになるのかな、という気がしています。売り主側も少しでも高く売ってCash確保したいですしね。。。

 

まあ、でも。。。うーん、Capしんどいっすね。。。中の「昔ながらの頭の人」の情報を先ず変えていかないと、と思っているんですけどね。またリーマンが起きたらCap跳ね上がって終いやんか!!!!とやられるともう人の話聞いてよ、という。。。トホホ。まあ、3%台って言われると。。。ちょっと辛いですけどね。やっぱり開発からやらないと多分辛い。一部でもEQ入れて、優先交渉権もらうかフォワードコミットをカマしてチャレンジするか。。。いずれもハードルは高い。

 

 

3.ホテル

 

(1)大阪・京都ホテル作り過ぎワロタ

 

もうね、アホかと、バカかと。

 

・・・っていう吉野家テンプレが出ちゃう感じの出来よう。大阪・名古屋における宿泊特化型ホテルの供給状況はもうRed Oceanを通り越して血の池地獄でないですかね。なんなん。死ぬの?。こういうのを見ると、「不動産関係者って学ばないよね」と他業界の方から揶揄されるのが心苦しいのですが、まあねえ。。。

 

 

(2)大阪、難波の夢のまた夢

 

APAだけでなく、色んな人たちがホテルをおっ建ててます。今の大阪は「戦艦大和」級から駆逐艦クラスまでありとあらゆるホテルがドンドン出来ている感じ。大阪だと淀屋橋超えて、本町の南側から多くなってきてませんかね。メインの御堂筋沿いだけでなく堺筋のあたりも。

 

アパの本町900室でMarketブチ殺しに来ている感ありますけど、難波で2,000室って・・・。確かホテル関連の人から「300室までだとホテルのオペレーションってあまり変わらないのですけど、500室以上だとちょっと異次元の世界になってくる」と言う話を聞いたことがあります。・・・まあ、業界外なので真偽のほどは検証しようが無いのですが。

 

確か、4-5年くらい前の大阪だと、ビジホが大阪市内の主要エリアで8,000円から10,000円で高すぎて取れないので、カプセルホテルにした、とか満喫にした、という若手もいて、社内規定変えた、という話を前職で聞いた気がします。つまり、そこまでADRがバイブスAgeAgeだった訳ですが。

 

で、引き続きインバウンドも好調だしということで本来は・・・という話ですが、多分供給よりも作り過ぎちゃった。判り易い。。。

 

 

(3)京都、インバウンドはんぶぶ漬たべなはれや

 

大阪でアレ、ですが大阪は大阪でビジネス需要もあるし、そうは行っても日本の第二位の町ですし、おすし。インバウンドの需要が伸びていけば多分、そして略等書くであろう、と言われるIRが来ればきっと。。。という話はありますが、京都はどうですかね。

 

京都、確かCBREでしたっけ?どっかだったかか、今ある部屋の1.6倍の部屋数が供給されるって言う話。当方も夏ごろに京都行った時には未だ開発の看板がガンガンありましたね。。。

https://www.cbre-propertysearch.jp/article/hotels_hotel_market-outlook2020-vol4/

 

インバウンドは東京にいればヤマのように見かけるのですが、そもそも街自体の大きさや交通機関が未だCapacityあるので何とか。。。という気がしていますが、京都は。。。ホント確かに凄い。コロコロのカバン引っ提げたインバウンドが集団で居ると、「バスの町」である京都ではあっという間にパンクする。鴨川の近く、高瀬川の夜なんて、外国人であふれてて、暑さもあってか、なんかしっぽりとした先斗町の料亭で、というよりは路上のデスクで酒飲んでる人も結構いてBangkokのSukhumvitみたいな感じあったり(パクチー感が無いけど)。

 

ホテルで言えば、宿泊特化型だけでなく、所謂業者型のAribnbや京町屋リノベ型宿泊なども含めて色々種類が本当にありまして、こうした点からも結構Red Oceanだなあ、と思う次第です。。。

 

 

(4)でもホテルに流れたのは「理由はある」(特に大阪)

 

大阪に関して言えば、ですが、ホテル一辺倒になってしまったのはインバウンドの需要もさることながら、やっぱり「オフィス」アセットにおけるグランフロント問題がかなりインパクトが大きかった、と見ていいのではないでしょうか。

 

大阪駅北ヤード、グランフロント。20世紀の終わりごろ21世紀の初頭に計画された大阪における大規模複合開発はこれまで大阪になかった規模のオフィスを生みだしました。あそこ、個人的には全然大阪らしくない街感が凄くて、ちょっと何も予備知識無しであの商業フロアに立たされたら、ここ大阪です、って言われないと判らない位。その位、大阪臭がしない所で、人によっては面白味に欠く、と感じる。

 

いまでこそグランフロントの賃料って3万円を超えるか超えないか、みたいな話の状況ですが、4-5年前くらいが酷くて特にタワーBが床が広いテナントだと賃料20,000円/坪を切ってリーシングしていた気がしています。それでも稼働が5割とかそんな感じで、「失敗プロジェクトじゃないか」という意見もあったほど。

 

この事案の要因は、オフィスマーケット環境が宜しく無かった、と言う事に尽きますが、遠因としては梅田、そしてそこを根城とする阪急グループをどっぷりと"沼に"引きこめなかったことにあるんじゃないかなあ、と考えています。そして第二の問題として、当初コアテナントとして考えていた在阪大手家電メーカーが此処までこけると思っていなかったことかと。

 

いずれにしても、大阪のTop Tireがこんな状況じゃ、オフィスなんて計画出来ない、と思ったデベ他不動産屋さんは、その当時Marketが劇的に良化していたホテルに目を付け出して、計画し、ガンガン供給して行った、と言う次第。

 

。。。まあ、仕方ないよね?(多分)

 

 

(5)関係者の態度

 

そんなこんなで、AMさんの一部では、「大阪・京都のホテルは当面様子見」というスタイルを決め込んでる人もいらっしゃるようで。

 

また、レンダーも従来2018年くらいまでは積極的だったのが、今年に入ってからはやや抑制的というか慎重。やってもレバレッジを抑える、Amountを抑える(他所に散らす)、といった話を聞きます。

 

結局のところ、トラックレコードが無い物件がガンガン供給されて、インバウンドも韓国についてはアレで、五輪後の状態というのもイマイチ判りにくい、マーケットが読めない、と言うのがいくつか重複して話を伺う所です。多分みんな同じ悩みを抱えているんでしょうね。

 

 

(6)宿泊特化型以外であれば、ラグジュアリーは解になるか?

 

ということで一部エリアでは血の池ですが、一方で、本邦においては「ラグジュアリー」クラスのホテルが足りてない、という話を聞きますし、それを踏まえてお国は施策としてラグジュアリーホテルの拡充を図ろうとしている様です。

 

確かに、ラグジュアリーホテルの拡充というのは一つ重要なミッションであると思います。しかし、一番の問題は「ボラティリティに耐えられますか?」という点についてどの位議論されているのだろうな、というのがいまいちよくわからない。

 

Yahoo!掲示板とかツイッターで流れているのは、宿泊特化型でOverキャパなのに増やしてどうするんだよ!という意見ですが、これは少し理解が浅くて、ラグジュアリーホテルと宿泊特化型とはやや客層が違うので、そこまでバッティングしない筈なのです。

 

一方で、問題はボラティリティです。

 

当たり前ですが、グローバルベースの景気の波、自然災害(SARSの様な伝染病も含む)、政治リスク等で殊高級材の消費は大きく影響を受けます。当然ラグジュアリーホテルも同様です。

 

然しながら、需要が無いから、といって簡単にホテル運営を止める訳には行きません。また、ホテル従業員の教育・育成にはエラく時間も金もかかります。ちょっとやそっとで始められるものでも止めるものでもないのです。

 

トップラインである売上はボラタイルで、期中の運営コストはそれなりに何時でも相応の水準がかかる。つまり損益分岐点が高い事業である、と評することができるので、このボラティリティにどれだけ凌げるか、というのがポイントな気がしています。つまり日本国政府が必要なアシストは新規にホテルを作るサポートをするのではなく、既存のホテルも含めて、如何に損益分岐点が下げられる様な施策を打つことではないでしょうか。

 

じゃあなんだよ、と言う話になると難しいのですが、ホテルスタッフの教育において、個別企業を超えた単位での設定・支援とか、標準化出来るオペレーションのノウハウ共有とか(もう既に個別企業同士でやっていそうですが)、ホテルサイドのFF&E投資へのサポートとか、まあそんな感じですかね(もう少し良いIdeaがありそうだけど)。

 

 

(7)カプセル、コンド、インバウンド主体宿泊特化ホテルは

 

まあ。。。それぞれちょっと色が強すぎてファンドとしてやるには辛いっすね。。。

 

カプセルについて言えば、初期コストが結構掛る(カプセルベッドの初期コストが結構かかる)一方、賃料のUpperは限定されることを考えると、ちょっとしんどいんじゃない?だったら通常のホテルで良いんじゃない?とおもってしまう自分がいる。

 

インバウンド主体ホテル、簡易キッチンついて。。。みたいな。

ツ◎サのウィーク◎ー◎ンションを彷彿とさせ(ry

 

 

・・・・ということで終わり。結構書いた。眠い。ねよ。。。